二日目 常宿の朝は気持ちがよい。庭の見える1階のカフェでゆっくりと朝食を取り、簡単なデスクワークもやってしまう。このホテルの朝食は、北海道産のものに拘ったメニューが特色で、いつも楽しみにしている。 午前に札幌に在住のお世話になったおじいさまの神父様をお尋ねする。 しかも、この日は私の親戚の中で最初に洗礼を受けられた大おばさまの命日。わたしが生まれるずっと前に、その葬儀を司式された神父様に、お会いすることが出来た。 「よく来たね、よく来たね」と何度も手を包みこむように握って下さる。感激の対面であった。しかも、今日はその後、大おばさまが住んでいてそこで亡くなられた小樽にも別の用事で夕方から出かける事になっている。天国電話健在である。 お昼は大先輩のおすすめの札幌ラーメンの老舗、三平でいつもの味噌ではない「醤油」を食べる。ここのラーメンはなんだか安心する味。 私の好きな「これでもかと思い詰めたようなうまさではない、当たり前のうまさ」醤油といっても、札幌ラーメン独特の表面の油の層があるので、醤油らしからぬ色をしている。おいしく頂いた。ただ、又来たら、やはりまた味噌を食べたいなあ。 その後、懐かしい10年振りの再会、芸高のチェロの先輩に会う。円山公園近くのなんとも味わいあるカフェ「森彦」で、おいしい深煎りのコーヒーを頂く。懐かしい話にあっという間に時間が立つ。 夕方になって、チェロ先輩に札幌駅まで送ってもらい、小樽へ。坂の町、運河の町、ちょっと観光地にしても寂れている印象は拭いがたい。過去の栄光の町。ここで、あんなすげえお寿司に巡り会うとは、まだこの時は気付いていない。 札響の演奏会を、小樽市民会館で聴く。 ペールギュントの1、2組。無料の招待演奏会なので、地元の気軽なお客様達。 静かな場面で「へ〜〜〜っくしゅん!」、オケのハーモニーになぜか完璧にハモる携帯の着信音、フラフラ歩き回る子供らにずっこけつつも演奏はすばらしい。 そう、この音!透明な札響の響き。 今回(いつもだけど)多大なお世話になったピッコロの大先輩の素晴らしい音に聞き惚れた。 古いドイツのピッコロをお使いなのだが、柔らかく、美しく、大きな音。安心しきって聴ける完璧な音程。ご本人は当たり前なのかもしれないけれど。オケ見習いのわたしとしてはどこをとっても勉強になる演奏でした。 前半で乗り番の終わった先輩と一緒に小樽の名店寿司屋「伊勢鮨」へ。 これは・・・。これは・・・。 この鮨を食べる為だけにまた来てもいいと思います。 銀座の名店と同レヴェルどころか、素材によっては遥かに上をゆくお鮨を、銀座の半額以下で頂く事ができました。 下ごしらえの丁寧さ!まったく魚くささが口に残りません。 なにか透き通った、夢の中で食べ物を口にしているかのような軽みと、北海道を始めとする海のエネルギーを純粋に体内にとりこんでいるかのようなまっすぐさ。 http://www.isezushi.jp/ 地酒も美味しい。北海道の地酒と、東北応援で、宮城の地酒を頂く。 めずらしいものとしては蛸の卵、「たこまんま」。不思議な味、おいしい。 わたしは食べた事のないものへの不安や、見た目の違和感などで味覚がほとんど左右されない 幸せな性格をしているので(でもこれって味覚の幸せへの第一歩だと思う)、食べた事のない珍味が出てくると本当にうれしい。 珍しいものをたくさん頂きましたが、よっぱらっていたので記憶があやふやです。 撮らせて頂いた写真をみると味がおいしかったのは良く覚えているのだけれど・・・。 それにしても美味しい幸せな時間でした。 終電で帰ろうと外にでると、めちゃくしゃ激しい嵐。雨と風、そして猛烈に寒い。折りたたみ傘が一瞬で複雑骨折しました。いやはや。 最終日、この日も盛りだくさん。 朝食のあと、まず円山公園から北海道神宮へ。小さい頃に父や祖父と散歩したところ。 そして先輩にもらっていた円山動物園の招待券!これを使わせて頂きました。 動物園来たのって何年振りでしょう。上野に16年いたのに、一度も動物園いってないんです私。でも来ました。円山動物園に。 レッサーパンダに悩殺されました。ホッキョクグマの赤ちゃんに瞬殺されました。ペンギンもかわいかった。アザラシも気持ち良さそうだった。面白いですね〜。動物は。 あたりまえのことなんだけど、ひとつ発見したのは、黒い動物、茶色の動物って結構いるのですが、紺の動物っていないんですよ。人間の服で、フォーマルって黒か濃紺、濃灰ですが、濃紺と濃灰は人間だけなのかも。そして黒って案外自然なのかも。 その後、歩いて五◯堂にてスープカレーを食す。 ここも件の食通先輩のリコメンド。 普通のチキンのスープカレー。 あっさりして奥が深い、わたしの好みにガツンのいいお味。 もう夢中で食べ切りました。ここも絶対にまた来たい。 その後、中島公園を散歩して、近くの銀座ライオンでサッポロクラシックの樽生を一杯。 そして札幌に別れを告げました。 帰りのANAはガラガラ。 飛行機は、被災地の上をかすめて飛びます。 この暗い大地(普通夜は市街地が明るく見えるのですが)で必死にいきている人がいる。 こんなに幸せな時間を過ごして、申し訳ない気持ちになりました。 この視線の先のどこかに福島原発もあるのでしょう。 〜〜〜〜 おまけ、ノーコメント。 おもしろいです。ちなみに元ネタは全然関係ありません。偽字幕スーパーです。 「大丈夫、ハーディングさまがいるわ」 http://www.youtube.com/watch?v=6Bb4LLzo_Jg&feature=share
by francesco-leica
| 2011-04-30 01:31
| 国内旅行記
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