カテゴリ:服飾雑記・服、小物( 48 )

さようならアルニス

天下の名ブランド、アルニスのLVMHによる買収劇、ブランドの存続や、国内での取り扱いについて、さまざまな話が飛び交っています。
アルニスを愛する一人としてとても気になっていましたが、ここにきて悲観的な「さようならアルニス」という表題の思いにいたりました。

和光(僕の考える国内唯一無二の、本物の百貨店)が取り扱いを中止したのもショックでした。この百貨店は、長い時間をかけてブランドと信頼を築く、育てるという強い意識で取引先を選んでいます。
そこが取り扱いをやめる、というのはどういうことか、信頼に足るブランドでないという判断をした、といっても過言ではないのではないか、と思います。去年でしたか、日本での代理店が変わり、意欲的にそして良心的な価格での展開が期待されていただけに、残念です。

話を戻すと、パリで聞いたLVMHによる買収劇の話はさらにコミカルで、ここにさらすのは気が引けますが、まあ買った方も買われた方も、同床異夢というか、うまくいかないのも当然かな、という気がします。
買った方も買われた方も、無責任であった、歴史と伝統に対して、代々の顧客に対して無責任であったと、思わざるを得ない。
だいたい、LVMHとアルニスは全く相容れないイメージではないでしょうか。
あの鼻持ちならないベルルッティ(嫌い)やブルガリや売らんかなルイ・ヴィトン(ただし告白すると、あのヴィトンのロゴといい、あのデザイン、鞄のクオリティーは全くもって秀逸であって、僕の鞄のコレクションの大部分を占めているのはヴィトンです)と、アルニスの、ひっそりと洒落て、限られた顧客によいものを作り続ける姿勢、そして、それが決して一般的な意味でのカッコいいものではない(というかっこよさ)は180度違うものを目指していると思うのです。それが左岸のアルニスのあのメゾンで、ベルルッティと一緒に売ろう、などと聞くともう心がひんやりしてしまう。

夢に満ちた伝説的な服の数々、渋くて派手な色彩(この点はエルメスのシルク製品と似ている。そして他のブランドはデザインの真似はできても、あの色彩感覚は真似できまい)、これらはいずれ、アルニスのネームタグをつけてそれに近いものを再現できるとしても、もうそこにはアルニスの何より大切な「血」がそこにないなら、それがどんなに「似たもの」であっても、僕は魅力を感じません。つまり、アルニスを買って着るというのは、その物を買うだけでは不十分で、その物語を買って着ることなのだと思うからです。ジャンさんをはじめ、アルニスを愛して守ってきた人々の物語を、その人たち自身から買うことなのだと思うからです。
僕は、いま、自分がもっているアルニスを着続けて、それを終えてゆこう、と思っています。

20年近く前だろうか、和光にアルニスのネクタイが並んでいるのを見たとき、その色彩感、なんというのか、すばらしいオーラ、「ストーリー」に、すっかり虜になってしまった。
そのときは高価な大人のものに感じだけれど、各デザイン各色に40本しか作らない希少性、そのネクタイの締めやすさ、作りの良さに、これは本物なんだ、と感じたものだった。他の有名ブランドのヘナヘナ、ペラペラなネクタイも数かぎりなく見て、なおさらアルニスの出来の良さは実感できた。
ネクタイを始め、ぽつりぽつりと集めていって、増えていきました。
神田の名洋品店「ニューシマズ」さんでも随分と買わせていただいた。すばらしいご主人と、すてきなご家族でやっておられるお店で、年配のご主人から語られる熱いアルニスへの思いにすっかり共感して、ジャケットを買わせていただいたり、貴重なカタログをいただいたり。
シルクをただ折り曲げただけの、つまり芯地の入っていないネクタイもすばらしいものだった。これをもっともっと欲しかったのだけれど、もう手に入らない。残念。特に太いストライプの。(買っておけばよかったと本気で後悔)

時期によって、少しずつネクタイの太さや作りが違うのも面白い。シルクの質や、ネクタイ自体の作りは、やはりというか、古いものほどよいと思う。締めやすく、解けにくい。手に吸い付くような柔らかい手触り。
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少しずつ、大剣が細くなっているのは時代の流れだろうか。
最後期、去年、今年になってから手に入れた数本は、正直にいいましょう。これが同じブランドかと思うほど、質は落ちていたように感じます。首をひねったものだった。そのあとで、LVMHの買収、日本での取り扱いの中止、オーダーのキャンセル通告・・・。さもありなん。
ゴワゴワした手触り。芯地と表地がずれて、波を打っている。プリント柄のずれ、よれ。うーん。普通、検査ではねるのはないだろうか。

本当に、すばらしいブランドでした。ありがとう。

またネクタイだけでなく、私が既成服でもっているワイシャツの中で、素材も作りもよいものは、アルニスの昔のものです。おそらくボレッリに委託している時代のものだと思う。
厚くてごつごつした手触りのコットンは他では見たことのないような質の高さで、縫製も、一つ一つのパーツ(ガゼットなど)も襟方も、超絶に優れていた。定価で、たしか10万以上の値段がついていました。体にぴったりで、長く着て疲れず、頑丈。
あと、100%シルクのシャツも、これでもかと、手の込んだ作りと、やはりごつごつした手触りと着たときの柔らかさのギャップが印象的。これも定価だと10何万円・・・(もちろん、もっと安く買っていますけれど)。世の中にはいいものがあるんだなあ、と勉強しました。
これも過去の話。ああいうコットン、シルクを探しているのだけれど、ありませんね。

まったく、LVMH・・・(以下自主規制)というのと、あとはもう、「まとも」なので残っているのはエルメスだけか?孤高を守ってほしいです。
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by francesco-leica | 2013-06-05 20:55 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(2)

鈴木健次郎さん

パリ在住の素晴らしい若手日本人カッター(仕立て屋さん)、鈴木健次郎さんの和光での自身初の受注会を見学してきました。いやはや、服飾関係のさまざまな情報を見聞きしたなかで、これほど興奮を味わったのは久しぶりです。話を伺いながら同世代の共感と尊敬、親近感、さまざまな思いがこみ上げ、初めて鈴木さんからのEメールをウィーンの空港で受け取って興奮したことなど、思い出しました。いずれ、ぜひオーダーさせて頂きたいと思っています。パリ行ってきます。
彼の言葉のなかで「肌と服の間に空気を纏わせたい」に感動。

お客様には、何人か顔見知りの方もおられて、楽しい時間でした。

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実際に鈴木さんのジャケットを羽織ると、実に柔らかく身を被う安心感と、手を楽器を構える高さまであげても全くつられないのにびっくり。そうですね、安心感、ですね。
そのまま、なんの気合いも入れずに、そのまま自分の一部にして街にスタスタ歩き出しても大丈夫な安心感でしょうか。

今日は興奮してそのまま4階紳士服売り場まで降りて懇意の店員さん(オーダーシャツのチーフ)と鈴木さんのテーラーリングについて話し込んで、ついでにシャツもオーダーしてしまいました。今回、少し襟のデザインを変えて、芯地の固さも変えてみることにしました。

鈴木さんの服、本当に美しく、控えめで、なのに圧倒的に品格のある藝術作品です。

「オレが、オレが」ではなく、UNDERSTATEMENT!
音楽もこうありたい。


わたしの今お願いさせて頂いている仕立て屋さん、有田さんの「かっこ良すぎる世界」感も大好きですし。服飾の世界は音楽の世界と同じように、深いものだと改めて思いました。


http://www.kobe-bc.jp/special/suzuki_interview/01.html
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by francesco-leica | 2011-11-20 23:11 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(7)

有田さんの新ディナージャケット

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有田さんの最新作。
じつに当たり前のディナージャケットです。

といいつつ、実はフックベントだったりします。普通はノーベント。
オーケストラだと座る仕事なので、さばきがいいように・・・という配慮。

カットをまた変えていただき、肩に出る皺がなくなりました!ぱちぱち!
↑(矢印)のようななで肩を克服、万歳。

生地は、もう任せちゃってあるので、よく知らない。
でも、ハリソンズのようです。かなり薄い、涼しい生地です。

先日の文京シビックでの新日フィル本番の時に、高校からの同級生(3年生のとき、わたしがミスター芸高で、彼女がミス芸高だった!)が撮ってくれました。
後ろにオーボエのオケの看板役者の先輩も写ってくださっています。


ちなみに、このジャケット、私はとても気に入ったのですが、有田さんがちょっと気に入らないところがあって、今、また工房に戻してあります。もう少し肩を攻めたい、ということで、一度本番で着用しただけで、もうお直しが入りました。。
これはもう、職人のこだわりです。

また直しが上がってきたらアップしたいと思います。

同級生さま、転載許可ありがとう〜。
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by francesco-leica | 2011-09-20 00:49 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(2)

正統派ディナージャケット

テーラー&カッターの有田一成さんに注文していた正統派ディナージャケット最終チェックに行ってまいりました。
渾身の出来です。

真夏に切られる本番着、というお願い。
それに対して有田さんが出して下さった答えは、軽量素材を使ったごくごく普通の黒のディナージャケット、所謂タクシードです。
そういえば、私はディナージャケットを有田さんにお願いしたことがありません。
いつも本番着、と広く頼んでひねってもらっているので、っぽいものはあるのですが、スーツなような、タクシードなような、というものです。

特にちがったところをさがすと、ちょっと見えにくい柄が入っているのと、後ろはフックベントになっています。普通、この手のジャケットはノーベントにすることが多いですが、これはオーケストラで座って仕事をすることを考えて、裾のさばきを良くする有田さんのアイデア。かっこいいです。

仮縫いをして、今回、もう芯地も裏地もついた段階で、袖付け直前の最終チェック。

着心地がいままでと違います。
いつも苦しめられる前肩の皺も、ありません。

お聴きすると、カットをかなり「思い切って」変えた由。なで肩補正、のぼりの部分の癖取り、袖付け、このあたりに秘密がありそうです。

できあがりが楽しみです。

7月22日、23日の「新クラシックの扉」で初使用になりそうです。

有田さん、納得の出来のようです。
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お店には有田さんと最強助手の水野さん、お二人とも徹夜明けですが、まあかっこいいこと!
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壁にかかる我がディナージャケット。左はお客さんが参考に(なんの参考か・・・)持ち込んだイギリスブランドの冗談のようなごてごてジャケット、あまりの迫力にと趣味のおよろしさに引きまくり・・・。
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ぐずぐずした風邪気味が続きます。
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by Francesco-leica | 2011-07-09 02:24 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(0)

新ディナージャケット

どうもタクシードといういい方が苦手でシテ。
業界では黒のタクシードを略して、黒タキと言ったりしますが、昼間の演奏会でもタキシード指定されたりして、仕方ないけれど、いやでしょうがない。

ディナージャケット、あるいはブラックタイ、と呼びたい。

黒服に銀ネクタイとか、昼間にディナージャケット(タクシード)とか、一体日本の音楽業界の珍妙な服装って、誰が決めたのでしょうね。

大きな間違いは、ディレクターズスーツを導入し損ねたことだと思う。
ウィーンフィルなんて、昼間の演奏会はほぼ全部ディレクターズスーツです。
これなんて、簡単にやるなら黒の上着に銀ネクタイはみんな持っているから、あとは縞のトラウザーズを買うだけでできるから、ぜひ広めて欲しいのですけれどね。オケによっては昼間にディナージャケットはおかしいということに気付いているのか、ダークスーツにネクタイ、なんて指定のところもあります。

いま、お世話になっている新日本フィルは燕尾服以外の服は昼も殆どがディナージャケットです。
ささやかな合法的抵抗として、有田さんに作って頂いた本番着は、ミッドナイトブルーのノーベントのスーツに、黒のパイピングを入れてもらって、「ディナージャケット風」になっています。
これにブラックボウタイを付けたらなんちゃってディナージャケット、普通のダービータイをぶら下げればスーツになります。トラウザーズの側章は、省略!なかなかいいアイデアと思います。

夏用の本番着を作って頂きたくて、有田さんにお願いしてきました。

例によって、わたしがお願いしたのは、「タキシード指定の夏用本番着、崩しても解釈してもなんでもいいので任せます」という甚だいい加減な注文。有田さん考え込んで、「ここは真面目なタクシードもいいんじゃないすか?」と意外なお答え。それはそれで楽しみだ。

この間の英国人指揮者ハーディングさん、ザヴィルロウ仕立てか?完璧な燕尾服姿だったと、と話すと、「ちょっとそれ、悔しいんで、その指揮者さん、今度いつ来ます?」6月と答えると、じゃあ、それまでに作ります、そん燕尾服見たいです、とのこと。ハーディングさん、素晴らしいクラシカルな燕尾服でした。ちょっとパッドも入れて、芯地も固め、いい生地でした。そしてウェストコート(ヴェスト)がダブルだった。
さあ、有田さんの魔法が見られるか。楽しみに待ちます。

〜〜〜

楽しみにしていた、東京春音楽祭は中止。
外人歌手が全然来られないのだそうです。ショック。
N響のローエングリンの解説を頼まれていて、去年のパルジファルも神がかってすばらしかったので、楽しみにしていたのですが。あ〜、我らのばらの騎士は大丈夫だろうか。
もうすぐ練習開始です、なんとか恙無く練習始まって欲しい。
世の中の状況の厳しさ、思い知っています。
こんな時だからこそ、必死にいい音楽をしたいのですけれどね。

エーリッヒ・クライバーのCD、カルロス・クライバーのDVDをかわりばんこに見ています。
さすがに似ている。オケの色あい、素朴さはお父さんが上に思う。もう香りたつウィーンフィル。
でも、洗練(素敵な言葉!)さでいえば、私はカルロスが好きです。
3幕のドタバタからあの死にそうに美しい3重唱に移るところ、何回聴いても楽しくて、美しくて、元帥夫人の潔さ、気品に心打たれて、今日などは何回か繰り返し聞いていたら、もうあてられてめまいと気持ち悪くなってしまった。それでも、気分がよくなってからまた聴いてしまった。

美しいものとは・・・?と聴かれたら、ばらの騎士の3幕、と答えたい。オケだけの組曲も好きでしたが、オペラを勉強するともう、やはりこっちがいいですね。

人生って。若さって。時って。
人生振り返って、これでよかったんだ、っていうしかないからこそ、より良く生きたいです。
元帥夫人がオクタヴィアンとの関係の終わりを予言して、「何が起こっても、成り行きに任せましょう。そうしないと、人生を誤って神様のお慈悲を受けられなくなってしまうわ」というセリフ、あの時代の退廃と、人生を一本通す、あえてこの単語を使いたい、「道徳」と、両方併せ持つ、このオペラの魅力をよく表していると思います。
わたしにはどうみても、ゾフィーよりも元帥夫人のほうが魅力的な女性に思えますが(もちろんそれがホフマンスタールも、R.シュトラウスも意図したことなのですが)、それでも結婚するならゾフィーとすると思います。わたしの精神構造もこのオペラをそのまま受け入れられます。

本当に、この3幕は心が溶けてしまう。思い出すだけで涙がでます。
わたしがもう若くないのでしょうか。
完全に元帥夫人の側に立って若い二人を見ているのです。
「これが若いということですな」「...Ja,Ja.」この時の元帥夫人の心を思うともう切なくて美しくて泣けます。

何年か前のベルリンフィルのジルヴェスターで、ラトルの指揮で聴いたのを思い出します。
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by francesco-leica | 2011-03-27 02:53 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(4)

オリジナルトニックの魅力

2010年2月にヤフーブログに投稿したものを再録。

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TAILOR & CUTTER有田一成さんはわたしの服屋さんですが、その最新作は去年の夏に作って頂いたオリジナルトニック1957を使った2Pです。

トニックは言わずと知れた、名マーチャント、英国のドーメルが1957年に発表したモヘヤ混紡の名作です。「トニックは米の飯」とさえ言われた、ド定番だそうですが、年々改良を重ね、と共に昔の良さがなくなった、などとも言われ、そのあたりは赤峰先生のお話などに詳しいのですが、まあ、その最初の精神に立ち返ろうというような意図で作られたのが、別注のオリジナルトニック1957なのです。
結構な高級服地です。(どうも、某百貨店の別注品のようです)

その神髄は、生地の堅さと、えも言われぬ光沢にあるのではないかと思います。

この生地にするまでは紆余曲折がありました。
夜にも着られる夏の正式なスーツとして有田さんにはお願いしたのですが、例によってちょっと、ツイストの入った趣味を入れたくなってしまい、いつも通り、「夏のちょっとかしこまった席用スーツ、夜に登板、でもボクらしくちょっとひねって」という要望の他は生地も含めた仕様について「お任せ」でお願いして居りましたが、だんだんとわたしも有田さんも普通の生地では面白くない、という境地?になってきまして、有田さんもヴィンテージクロスを引っ張って来たり、バンチとにらめっこなさったり何週間も生地選びに費やして下さいました。

ふと、こんなのどうでしょう、と出して下さったバンチがこのオリジナルトニックやスポーテックスなどの昔ながらのドーメルのバンチブックだったのです。
見た瞬間に「これだ!」と思いました。

その時は、「これがあの有名なトニックかあ」という程度の認識でしたが、調べていくうちに、トニックの歴史や、熱狂的なファンがいること、オリジナルの価値などわかってきました。

どこがいったい気に入ったのかを具体的にあげるとなるとちょっと困るのですが、
とにかくまずは「こいつは凄いなあ、他とは違う」というような印象をまず持ちました。

有田さんの好きな、仕立て映えする、底光りする、という形容詞はそのままトニックの特徴に当てはまります。テラテラする光沢ではなく、じつに落ち着いて見えるのだけれど、たとえば夜の照明下などでは鈍く光って存在感を主張する感じです。

バンチを触ってもびっくりするほど、ハリのある固い生地です。ほとんとゴワゴワ。
本当にこれで服になるのか心配になるほど、固い。有田さんもアイロンは「難しい生地ですが、やりがいがあります」とのこと。こういう生地こそ、手作業のビスポークで仕上げていって欲しい生地ですね。これほどハリのある生地をマシンメイドやパターンオーダーに落とし込んでしまうというのはちょっと無理があるかもしれません。

色は濃紺ですが、わたしの好きな、織り感があって、ちょっとポツポツとスラブっぽく他の色も混じる紺で、完全なソリッドではありません。ツイードっぽいような。好みにドンピシャ。

出来上がりの印象は、やはり、とにかく固い。
アイロンワークによって肩や登りはきれいな曲線になっていますし、ラペルにはこれでもか、とハ刺しが打ち込まれています。
それでも、身にまとわりつく感覚になるまでは結構着込まないといけませんが、たとえば朝に着て外に出て仕事をして、夕方あたりには肩の収まりも足さばきも随分とこなれてきます。
皺が皆無で気持ちいいですが、もともとは皺のないスーツ生地を開発するのが目的ですから、その目標は見事に達成したわけです。

トニックを着慣れ、見慣れると他の生地が、失礼ないい方になりますが、ちょっとヘナチョコに感じてしまう時があります。いけないいけない・・・


楽器でも、なんでもそうかもしれないけれど、よりハードルを上げた境地に自分を追いこむと、突然、今までの、他のものがとても優しい(易しい)ことに気付いたりしますが、そんな感じです。
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by francesco-leica | 2010-11-21 21:34 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(4)

紺トニックスーツ

2009年にヤフーブログに投稿したものを再録。

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有田一成さんにお願いしておりました
オリジナルトニック(復刻版)をつかったスーツの完成写真を、しばらくお出ししていませんでした

初出動は9月の中国行き、北京飯店での大レセプションでの演奏で着用
あと、最終日の広州の船の上でのパーティーでも

生地の魅力というものに、存分に気付かせてくれるスーツでした
トニック、大好きになりました
かなり「言うことをきかない」と言う点も、気に入りました
始めはゴワゴワ、でも馴染んでくると凛として身を覆う
底光りする風格

その後も大事な演奏会やセレモニーで登板
初めての濃紺スーツ、昼間やカジュアルな場ではちょっと出しにくいので、出番は多くありませんが重宝しています
肩の皺も、薄いパッドを入れる事で解決しています

有田さん
キュキュキュの攻め攻めスーツから
ちょっと大人っぽい雰囲気にシフトして下さっています

日曜に教会に行ったときパチりされたものをお出しします
これはシャツも有田さんオリジナルのハイカラーのもの
(ネクタイちょっと緩んでいます・・・)
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by francesco-leica | 2010-11-21 21:28 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(0)

T&C仮縫い

2009年にヤフーブログに投稿したものを再録。

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トニックの紺スーツの仮縫いにいってきました

雰囲気のある生地
ハリと腰、光沢が強い、有田さん好み(私好み)の生地です

私が約束より少し前に伺うと、トラウザーズの仮縫い準備を
助手の水野さんがやっておられました
まず、上着から見ていくことに

懸案の肩のシワに対応するために
またもカットを少しいじって頂きました
主に肩の付け方の部分

わたくし、もともとの超なで肩前肩の仕立て屋泣かせ肩に加え
ここ数年でばばっと太り、
水泳通いで、腕の付け根の後ろにぎゅぎゅっと筋肉が付き、腕も太くなり
足も太くなり
うーむ、こりゃ型紙も見直しだぞ
って感じです

まず、上着を来て
首、肩を中心に検討していきます
ピンを少しうって直していきます

袖にもチョークを入れます

トラウザーズはちょいときつめ
いうまでもなく、チョークを入れていきます

そのあと、このスーツのコーディネイトを何パターンか想定して
有田さんに組み立てて頂きました

もうすぐ完成
楽しみです
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by francesco-leica | 2010-11-21 21:27 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(0)

オリジナル・トニック1957

2009年にヤフーブログに投稿したものを再録。

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テーラー&カッター・有田一成さんに、夏のスーツの相談をしてきました。
実は、この夏は親しい友人の結婚式が3度、そのうちふたつは披露宴の司会をわたしがつとめます。

それにあわせて、というわけでも無いのですが
夏の一張羅を作りましょう、という企画。

有田さんははじめはジャケパンスタイルをイメージされていたようですが
私は、夏の素敵なジャケットをいくつか有田さんにすでに作って頂いていたのと
夜のパーティーがありましたので、パリッとした青系のスーツをわたしはイメージしていました。

何度か話し合いを重ねていくうちに
スーツのイメージが二人で立ち上がって来ました
「こんな感じで、どうでしょう」
と有田さんがバンチから引っ張りだしたのが、写真の「オリジナル・トニック1957」

ご存知、名門ドーメルの代表選手で、そのオリジナルに近いものの復刻を伊勢丹の別注で出したそうです。
それを有田さんのところでも使えるようにしてもらった由。

もう・・・見た瞬間、一目惚れでした
ごつい手触り、素晴らしい光沢、張り
12.5オンスなのでかなり重いです
赤峰先生もお気に入りの素材

決して夏用素材とは言えない重さなのですが
通年、勝負服にできる素晴らしい生地です
背抜きにしたら、夏もいけるのではないかしら

手配に時間がかかるということで、ちょっと急いでいた私は
ほかにもいくつかの「っぽい」生地、有田さんがストックしている面白い柄のトニック
(これはすごいエキセントリックなコレクションでした!)
を見せて頂きました。でも、見れば見るほど、バンチの無地トニックのイメージは頭に残ります。

一度有田さんにお任せして、イギリスの霜降りの藍っぽいモヘアを取り寄せて頂きましたが
それでもやはり二人とも「うーん」「いいですけどね・・・」「ちょっと比べると・・・」「パンチがね」

ええい、決心しました。
似たものをいくつも持っていてもしょうがない
この特別なトニックでお願いします。
結構明るい(青系のなかではバンチのなかで一番明るい無地)ものをビスポークのスーツにして頂きます。

ハリソンズも大好きですが
やはり、というか、高級素材の定番というものは、それなりに人を引きつける、
時を超えた魅力があるのでしょうか。
ちょっと興奮しています。


来週、生地が届きます。このあとわたしはしばらく地方なので、帰って来たから改めて相談に伺うことにしましたが、細部はいつも通り、全てお任せでいこうと思っています。
だいぶ体型もこの1年くらいで変わりましたし、細いパンツとかは似合わなくなってきています。
水泳にかよって、だいぶがっしりしてきましたし、
ちょっと大人っぽい雰囲気でもいけるかなと思っています。
これを来て、ウィーンのマフテイで、いま、わたしが取りにくるのを一年近くまっている
ボルドーのボタンアップブーツを履きたいです。


ドーメルが、シワのない素材をめざし、
3年の歳月をかけて開発し、完成した日にジントニックで乾杯した。
そしてトニックと名付けた、というトリビアも知りました。

あと、ドーメルではスポーテックス1922も好きになりそう、気になります。
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by francesco-leica | 2010-11-21 21:26 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(0)

有田さんの本番着二着目

2009年にヤフーブログに投稿したものを再録。

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服全般のお世話になっているテーラー&カッター有田一成さんに
二着目の本番着をお願いしました。

有田さんには燕尾服もお願いしていますから演奏会で着る服は実質3着目となります。

「本番着」は即ち黒スーツ、我々の業界では、多くの本番を「黒スーツ」でこなすので
黒スーツはもっともヘビロテの戦闘服なのです。

最初に作って頂いたのは5年くらい前かなあ
日本の初代ギーヴス&ホークスが撤退して
有田さんがまだア・ワークルームのビスポーク担当だった頃

肩も背中も脇もきゅきゅきゅのスーパー攻め込みセクシーブリティッシュ黒スーツを最初に作って頂いて
それが私のメイン本番着でした

それはものすごく気に入っていますが、とにかく出番が多すぎて長く着る為に心配なのと
私が大きくなって(太ったとも言う)少し休ませがてら背中や脇を出してもらいたい
あとは、最近イタリア風の新しいカッティングがわたしの中で大ヒットで
(有田さんもお気に入りでパターンオーダーに落とし込む準備中だそうです!)
その新しい型紙で本番着を、というお願いを出しました
他に要望は

黒ではなくミッドナイトブルー
ちょっとトクベツ感を出す
タクシード的な着方もできるもの
細部は全てお任せ

これらを、いつも通りのお題にお願いしました
すると

フィッシャーの重めのミッドナイトブルーに、黒のパイピング!
ひとつボタンのクルミボタン、拝みボタン
ノーベント、袖は2つボタン

という仕様で仕上げて下さいました

例によって、いつもの右肩の極度の
前肩なで肩の補正には手こずります
前回はかなり柔らかい生地だったので、うまく生地の方が負けてくれて
変な皺は出なかったのですが、
今回はかなり張りのある生地で相当皺がでます

肩で前に押される部分と首の付け根の距離が足りなくなるのです
結局、肩線で一度ばらして余裕をいれてもらって解決しました

ダービータイでも、蝶ネクタイでも行ける
汎用性の高いスーツになりました。
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by francesco-leica | 2010-11-21 21:23 | 服飾雑記・服、小物 | Comments(0)