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年末旅行ウィーン編

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ウィーンには夜遅くついた。街はかわらず。
この夜遅く着くってのは久しぶりな感覚。
普段はオーストリア航空でも、ルフトハンザでも、あるいはANAの羽田深夜便でも、もっと早く着くので、街を一回りして軽く飯を食う余裕があるのだけれど、
今回のように9時とか10時とかに着くと、こちらも時差ボケで疲れているし、ちょっと損した気分かもしれない。
常宿のカイザリン・エリザベトには東洋系の新しいスタッフが入っていた。これも時代の流れだろうか。
他のスタッフとは相変わらず、前回は両親を連れて行ったので元気か、と気遣ってくれる。
朝食のフロイラインは、飲み物を注文するとき「あなたはもう『いつもの』でいいのよ!」と笑っていってくれる。
ここは、世界にもう一つある、僕の家なんだと改めてうれしく思った。

ところで、かなり寒いかと覚悟していったのだけれど、全然寒くなくて、むしろ、ヌルい。
10℃を上回ることはないから、温かいわけではないけれど、
今回は上着をアルニスの赤い裏地のものにして、それが結構温かいので、日中はコート(バブアのトレンチ)を置いて出るくらいだった。

あと、今回は久しぶりにライカM6にズミルクス35mmf1.4を持って来た。ライカでウィーンを撮るなんて久しぶりで気持ちが高まった。
1997年に初めてきたときは、ひと月、毎日カメラを持って、疲れを知らず1区中の路地と言う路地を歩き回ったものだ。
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26日は聖シュテファンの祝日。朝7時半のシュテファンの御ミサを与り、アウグスチーナー教会に行くと11時から本格的なミサがあるというので、
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オーバーラーでメランシェを飲みながら待つ。素晴らしいアウグスチーナーの御ミサ(ミサのはしご、というのはあまりやったことがない)のあとで
オーバーラーで昼飯。鱒のグリル(ムニエル)。ワインはウィーンのワイナリーChristのゲミッシャーザッツ。飲みやすくて、うまい。

夜は国立歌劇場でフランツ・ウェルザー=メスト指揮のフィデリオ。
ウィーン風の演出で、大臣到着のあとの場面転換で、レオノーレ序曲第3番を演奏する。
極めてオーソドックな音楽だったけれど、やはりというか、オケのうまさを堪能した。
ミスもある演奏だったけれど、その慣れ、とか練れ、とか、こうやったいいんだ、というアイデアとも違う、「習慣」が素晴らしい。
これはちょっと伝えるのが難しい、うまい!というとも違う。
例えば、これはベルリンなどでは時に感じるのだけれど、日本でもたまに感じるのだけれど、
そのあまりのうまさというか、音楽的な「アイデア」に正直辟易するときがあるのだ。
本当に正直にいうと、そのあまりのうまさが小っ恥ずかしいのだ。
そういうときに、こう思う。「ウィーンだったら、絶対にこんなことはやらない」。
本当に、自然なのだ。余計なことがない。
なにもしていないように見えて、とっても自然で、素敵で、流れている。そういう音楽をやるのだ、ウィーンのひとたちは。

フィデリオのなかでも、メロディーのなかで楽器の組み合わせが刻々と移ろっていくような場面がたくさんあるけれど、
その移り変わりが全く気にならない、わからないほどの滑らかさ、自然さで変わっていく。
バランスなどにも全く段差がない。こういう大人なテクニックというのはただうまい、というだけではない、受け継がれていくセンスがあるのだと思う。こころから堪能しました。

ただ、フィデリオの話自体は、僕はあまり好まない。ベートーヴェンが好きそうな話だけれど。
もっと軟派な話のほうが好きだな。フィデリオは猛女列伝ですよね。なよなよした女性も好きではないけれど・・・。
ずっと男の振りがバレないってのもすごい。

フルートはワルター・アウワーさん、以前、彼のフルートアルバムの解説も書かせてもらっていて、注目している若手。
昔はもっとオレがオレがしているようなパワフルな印象だったのに、今回聴かせて頂いて、全然違う印象だった。
不思議に、出所のわからないような(これはシュルツさんの時と一緒)、本当によく溶ける音。
金の音だ。これはキラキラしている、という意味ではない、寧ろ僕は逆のイメージ。
金は温かく、優しい音。ゴーゴーした金の音は、嫌いだ。
これがウィーンの音なのだ。そう、Edel(高貴)。
そして、本当に!オペラ座はエレガント!
オペラはオーケストラや室内楽以上に、会場の雰囲気、お客様の雰囲気全体で感じるもの、という思いが強いので、せっかく見るなら本場で、と思ってしまう。
今回は初めて、パルケット(オーケストラピットのすぐ前の平土間)で見ることができて、本当に贅沢ないい時間だった。
帰り道のケルントナー通りをゆっくりあるくのが楽しかった。夢をみさせてもらったようだ。
お酒を飲んでもいないのに、フワフワな歩き心地。この年になっても(もっと年をとっても)、人間は生きていたらこんな感動ができるんだ、と思って、楽しかった。

翌日は、街のお休みもあけて(そう!旅行に行く人は気をつけてください。ウィーンは24日、25日、26日はかなりの商店はお休みです。食べるところも少ない)、
お土産や、うちの必需品の補充の一日。
まず珈琲はナッシュマルクトの側のAlt Wienで。初めてBIOのものを試す。うちでも挽けるけど、ここではだいたい粉に挽いてもらう。
いつもいる店主のオジサンは、どうやって飲むのかを色々聴いてくるのだけれど、ペーパードリップで、というとものすごく細かく挽いたのをすすめてくる。
これは他ののドイツ語圏でもそうなのだけれど、こちらから見ると細かすぎるように思う。そこで僕は「目盛りは6にして」とお願いするのだけれど、
そうするとあからさまにいやそうなのだブツブツ「荒すぎる」とかつぶやきながらやるのだけれど、今回はおじさんいないので、
「目盛り6で」というと「あっそ」とやってくれる。
ここの珈琲は本当に美味しい。大好きな、濃く強く香り高いタイプ。

さて、そのまま隣の角、私の靴屋さん、MAFTEIへ。
凄腕職人の息子さんルシアンさんと奥さんが待っていてくれた。オヤジは今日お休みなんだ。と。
普段はルシアンさんは御自分の支店をポストガッセに持っていて、このキューンプラッツにはいないのだけれど、ヘルプだろうか。
このルシアンさんはあちこちで修行していて(ロンドンでも。確かロブ・ロンドンで、とオヤジさん言っていたような)、完璧な英国英語を話す、
素晴らしいセンスの職人さん。「真のウィーン人30人」という本でも取り上げられた人。
このルシアンさんと、奥さんとの1時間ほどの交流の濃さといったら!!
まず入るなり「アルニスですね!素晴らしい・・・。靴の茶色とあっています(今回はチャーチのぽってりしたチョコ色のライダーを履いていた)」
「アルニスが無くなったのはご存知ですか、とても残念だ」なんだなんだ情報通か・・・。
そして、靴を受け取り、次の注文を時間の楽しいこと、楽しいこと!
どんな服地には、この革、この色にはこの色、いや、春の風のなかを歩くにはこの革がぴったりです。
あなたは今日のようなカシミアの(よく見ただけでわかるな)セーターはよく着ますか?ならこの色で・・・。
ガルーシャは、「あなたには似合いません」とも(これはこれでうれしかったな、僕も嫌いなので)。
象革はものすごくリコメンドされました。
地球の一部の気持ちになれる靴。とも。
次次回はこれでいくかも知れませんが、今回は明るいアンティークフィニッシュ(「私が自分でパティーヌします」と)の茶色による、
センターシーム(「オリジナルは父も働いていたルドルフ・シェアですが、うちのいちの得意モデルです」と)、アルニスと共に旅に履いていく靴、
というコンセプトで、ハーフラバーソールにしました。
あとは象革のベルト。

楽しみで、楽しみで。

それにして、ウィーンでこんな英語で喋ると思わなったので、冷や汗が出たよ。もっと英語も勉強しないと。
そして、なんと、ルシアンさんの奥さんはウィーンのアカデミーで勉強した歌手でした!!
音楽の話で盛り上がりました。素敵な方でした。うれしい!
私、靴のことはなんにもわからないの、と。

マフテイ、ルーマニアに工房をできて、ニューヨークでオーダー会が成功して、次はパリでやりたいとも。
いまからパリのテーラーで受け取ってくるんだ、といったら目を輝かせて「チフォネッリ?カンプス・ルカ?」と。
本当に詳しいですね、ルシアンさん、スマルトでヘッドカッターをやっていた若い日本人だよ、というと、噂には聴いたことがあるようでした。
その彼にも我々の靴を見せてきてください。と。

今回の完成品、素晴らしい出来だった。過去最高かも。
オヤジさんがドヤ顔で「世界で私しかできない」と豪語する美しいノルヴェージャン製法のモデル・アレクサンドル。
ジョンロブ・ロンドンも、ノルヴィージャンの依頼は全部親方に頼むようです。以前オーダーシートや木型を見せてもらいました(ブログには写真、載せるなよと言われて)。

ステッチも本当に美しいです。そして意外に返りがいい。
以前はくるぶし周りが硬くて、いつもトンカチでドンドンしてもらってから履くのですが、それも必要なかった。
オヤジさん、乗りに乗ってます。
それでも、実に実に、グットプライスです。
絶対に、日本の靴好きにもおすすめしたい。
最初はオヤジさんの自分の名前をつけている外バネのモデル、アレクサンドルを勧めたいな。
エレガントでほかにも合わせやすい、いいデザインです。

満足して、ほかの小物お土産、例えばパプリカの粉とか、オーバーラーのチョコレートとか、ワインとかを買って帰る。
今回はHuberのオーソドックスなグリュナーフェルトリーナーを1本。

夜は、高校からの長い付き合いの後輩と初プラフッタ。
こちらで結婚して、素晴らしい仕事についてがんばっている尊敬する後輩に予約してもらって、ウィーン料理の最高峰へ乗り込みました。
本当においしかった!そして、量がすごかった!サービスも洗練されて美しかった。
ターフェルシュピッツの概念が変わるうまさでした。
肩肉のところなんて、とろけるうまさでした。
ああ、また食いたいな。

これがウィーン最後の夜。
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by francesco-leica | 2014-01-08 23:08 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

10ヶ月ぶりのウィーンへ

久しぶりにウィーンに向かう飛行機の中。
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前回は今年の春に両親を連れて来た旅で賑やかだったので一人の機内はいくらでも時間があるような気がしている。
(さっき貰った揚茄子の味噌坦々スープは美味だった)。

今回のミッションは、ウィーンでウェザー=メストの「フィデリオ」を聴くこと。マフテイで靴を受け取り、次のオーダーを入れること。古い大事な友人に会うこと。プラフッタ(15年ウィーンに通って、初!)で食事すること。パリで鈴木健次郎さんのスーツとジャケットを受け取ること。美味しいモロッコ料理を食べること・・・。大晦日のロンドンを散歩すること。あとはもう、馴染みの場所で馴染みのものを食べ馴染みの人にあうだけ。犬のお散歩と一緒だな。教会に行くこと。溜まっている本を読むこと。つまり、フルートを吹くこと以外のこと。

そうそう、くだらないのだけれど、ウィーンでお気に入りの中華屋もラーメン屋も次々と畳んでしまうので、今回はどこか新規開拓しよう(ベトナム料理のフォーでもいいかと思っている)と思っているのと、パリでは以前、味の濃さと脂っこさにギブアップした「こってりラーメン・なりたけ」に『あっさり』で再度挑戦すること!


去年からメインの航空会社をルフトハンザからANAに変えた。
日本の航空会社を、がんばっているANAを応援したい、というのはカッコ付けた理由で、実際にはやはり日本の航空会社のサービスの良さ、CAの行き届いている気配りは乗っていて安心だし、去年一年間乗りまくって上のステータスになって、長距離を乗る際にはほぼ毎回アップグレードして楽させてもらえるのに慣れると、他の会社には乗る気がしなくなってしまった。「機内で日本語が聴こえるとイヤ」なんて粋がって言っていた10年前と比べると、これは一種の堕落と言われるかもしれない、そうかも知れないけれど、ANAは好きだ。イメージソング、葉加瀬太郎さん作曲の「アナザースカイ」も好きだ。

さて、僕は慣れているところで以外では全く眠れないので、機内ではひたすら読書か、密閉性の高いイヤホンを持参して音楽を聴いている。面白そうな最新映画は斜め前の席の人の見ているものをチラチラ見る。
日経を読み、週間ダイヤモンドを読み、鈴木健次郎さんのことを題材にした「夢を叶える」を半分読んだ(本当に泣ける、鈴木さんご夫婦を心から応援したいと思う。おすすめします)。

音楽は色々聴いたけれど、あんまりダラダラ聴くと感動が薄れてしまうので、耳栓の時間と交互に、休みながら。

モーツァルトのセレナード「グラン・パルティータ」KV361。この中で何十回聴いても必ず涙が出てしまう、好きな箇所が、この長大な曲の頂点として配置されている第3楽章だ。

映画「アマデウス」の中で、その場面を回想するサリエリの独白は見事にこの曲の魅力を言い表しているのだ。

─出だしは滑稽なほど単純だった。

ファゴットとバセットホルンが錆付いたアコーディオンのようにパルスを刻む。
突然、はるか高くにまっすぐなオーボエが…
甘く、喜びにあふれクラリネットが引き継ぐ!
猿に書ける音楽ではない。
これは私が一度も聞いたことがなかった音楽だった。
切望、満たされない切ない想いでいっぱいになり私は震えていた。

─まるで神の声を聴いているようだった。

〜〜〜
僕は、この部分の、オーボエが出てきて3秒後にはもう涙腺が決壊してしまうのだ。信じられない美しさ。

今はメンデルスゾーンの交響曲3番「スコットランド」が流れている。

これは数ある交響曲の中でも大好きな10曲のなかにはきっと入る曲だと思うのだけれど、NJPの「新・クラシックの扉」で一度やったことがあるだけだ。
今度、1月17日の横浜シンフォニエッタ第7回演奏会のメインプログラムになるので勉強し始めている。前回は2番奏者、今回は首席なので少し見える景色も違うかもしれない。
ひたすらクレンペラー盤を愛聴している。たぶん、かなりゆっくり目のテンポなのだろうけれどこれにハマるともう、このテンポが最高に感じる。
第2楽章の気持ちいい吞気なクラリネット、第3楽章の中間部の短いフルート・ソロの香り立つような歌、どれもこのテンポあってこそのものだろう。
この曲だけのことでなくて、一般的にとても速い曲をゆっくり雄大に、且つ凭れずに演奏するのを聴いてしまうとどうしてもゆっくり演奏するほうに一票投じたくなる。
例えば、ハイドンの交響曲第104番を、僕の大好きなカール・シューリヒトがフランス国立管を振ったローザンヌでのライブなどはまさに典型で、
普段のシューリヒトの飄々ぶりからは想像できないちょっと驚くほどのロマンティックな演奏なのだが、本当にこぼれ落ちそうに豊かで可憐な歌が聴ける。
自分が指揮をするようになってから特に思うのだけれど、私は割とゆっくり好きのようだ。標準レンジがあるとすればそのなかでゆっくりで安心して歌いきれるテンポを取ることが多い。
新幹線の旅ではなくて、馬車の旅のような。
颯爽と速い演奏は、一見格好がよいが、若々しさというよりは、ゆっくりだと場が持たない「焦り」、アイデアの無さを露呈しているように感じる。もちろん、カルロス・クライバーのようなどんな速くてもとんでもなく情報量と余裕を感じるような名演もあるのでは一概にはいえないが・・・。

さて、一休みします。
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by francesco-leica | 2014-01-03 14:45 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

プラハ響、ウィーン・フィル、ベルリンシュターツカペレ

昨夜までに、3日連続で、とてもいい演奏会を聴くことができました。

まず、
山田和樹指揮、プラハ交響楽団定期。牧神、新曲、シェヘラザード。
サイモン・ラトル指揮、ウィーン・フィル定期。ブラ3、ウェーベルン、ライン。
ダニエル・バレンボイム指揮、ベルリンシュターツカペレの特別演奏会。ブル7。

みんなそれぞれ良かった。
やはり、いい。
昨夜はオーストリアの恩師の訃報を聴いたばかりの親友ピアニストもたまたま来ていて、終演後にカフェ・ハヴェルカで深夜のおやつ(夜になると出てくるクーヘンが最高!しかもビールが合う)を食いながら、話しました。
こいつは、高校からずーーっと、僕に悪いことだけ教え続けてくれる素晴らしい友人で、ヴァイオリンとヴァイオリニストが好きだという以外は、やることなすこと全て正反対なのですが、ものすごく影響を与えあっています。でも、世の中何が大事か、みたいな真面目な話をするときだけは全てお互い同意できます。しかも、お互い間違っている、と思ったらズバズバ言い合います。こういうの親友というのでしょう。(こういう同性の友人が、指揮者とかヴァイオリンとか、違う楽器に複数いるということが僕の人生の宝物です)

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「こういうのが当たり前の世界、ってのは幸せだよな」
「やはりこれなんだよなあ」

これ、とはあまりに色々な要素がありすぎて一言では言えないくらいのものだけど、

余裕、そして余裕なのに大迫力。柔らかさ、でも強さのある柔らかさ。
弦なんて、みんな相当弾いているのですが、ガリガリとは決して聴こえない。
コンマスやトップと、後ろの人の弓の量がほぼ同じ。
音の芯の力強さ。でも生音でなくて、響き。
ホールの美しさ、大人の男女の聴衆の雰囲気。
和音の美しさ。
金管がうまい!本当に、単純に、うまくて、音楽的。

プラハ響のホルンなんて、うますぎて腰がぬけるかと思いました。女バボラークみたいでした。
しかも、のりのり大暴れに動きながら。
ヨーロッパのオケが好きなのは、首席はもちろん、2番以下の奏者も、弦の後ろの人も、実に楽しそうに弾いていて、見ているだけでも幸せになるのです。つまらなそうな人、無表情な人がいない。

フルートは、ウィーンフィルの2番の方以外は全員ゴールドでした。それも時代のながれか。
昨夜の首席だけはキンキンツヤツヤした音で実にブルックナーに似つかわしくなく、いやでしたが、あとはみなさん本当に美しく、安心して聴かせて頂きました。

でも、日本のオケも負けていないぞ、と思うことだっていくつもありました。
様々な楽器で、個々の奏者を聴けば、私の知る、あの人のほうが、あの人の音がいいな、なんて思ったりもしました。あとは、ウィーン・フィルと言えども、指揮者が勝手なことをやれば(これは大変逆説的ないい方ですが、指揮者が勝手なことをやれば!)盛大にズレズレになって、みんな平気な顔をしています。そのあたりは日本のオケのほうが遥かに素直で親切です。まあ、善し悪しなのかもしれませんが。

いくつか、雑感を。

プラハ響。フルートの牧神ソロはとても素敵だった。弦のふっくらした音はまさにチェコ。金管のべらぼうなうまさは本当に腰が抜ける。トランペットはケイマル弟子?漢(おとこ)、って感じの音。ホルンの歌うこと!

ウィーン・フィル、サー・ラトルとは水と油か。1(ブラ3)、2曲目(ウェーベルン)ではまだ水と油。ラインではさすがにマヨネーズになった。常連のかなりの数のお客は、終わるや否や席を立っていた。ラトルの言うことをきかないウィーン・フィルが好き。ラインの4、5楽章などオケの本気がやっと聴こえた気がする、鳥肌。
でも、前回聴いたティーレマン/ウィーンフィルとか、素晴らしかったからなあ。ラトルさんはベルリンで、どうぞ!
それにしても、我が常宿は、いつもウィーンフィル定期で、とんでもないいい席を押さえてくれます。よほどのルートがあるのか・・・。


バレンボイム!食わず嫌いだった。イギリス室内とのモーツァルトなど、いくつか好きなものもあったのだけれど、全体にしかめ面の、やや横柄な、間違いなく天才なのに突っ込んだところが全然聴こえてこない、という印象だった。でも、久しぶりにブルックナーの声が聴こえるブルックナーが聴けた。ブルックナーではヘラヘラニヤニヤされたら困る、猪突猛進、艱難辛苦を共にして、でも困る。バランスに細心の注意を払い、悠然と、自然に、馬鹿なことを一切しなければいいのだけれど、それができる指揮者というのは本当にいない。少し前も日本のオケでがっかりするのを聴いたところだったので、心から快哉を叫んだ。特に、ブルックナー得意の指揮者やオケでも、軽々しくなってしまう、3、4楽章を立派に聴けたのは、本当に珍しい、超名演だったと思う。彼はお客様にも愛想よく、ちょっと印象が変わりました。オケへのねぎらいもとても感じよくて、ちょっと意外な感じでした。
あとはオケ素晴らしい!2週間で、ブルックナー全曲をやっているのです。なんというスタミナ!!
でも、すでに6曲の本番をしてきているわけで、ブルックナーへの慣れを感じました。
お客さんはすごい集中力。ブルックナーを愛するウィーンの聴衆(ブルオタではなく!)の温かい拍手。7番は最後が枠主題として、冒頭のE-Durのテーマが回帰して、まさにホ長調讃歌と言う感じで壮麗に終わるのだが、その最後の和声の響きの余韻と、みんなが圧倒されて残響の中それに浸る時間と、それからパラパラ・・・ポツポツ、ざ、ざ、ざーーー!!という拍手のタイミングが絶妙でした。これぞブルックナー拍手。そして、スタンディングオーベーション。日本だと、お客様の拍手が本当にいつも心配なのです。余韻をぶちこわしにする拍手がきたらどうしよう、と。拍手の文句を付けては罰が当たりますが、はっきり言って無粋な拍手もあるので。


本当に幸せな時間を過ごしています。
おいしいものを食べて、いいお酒を飲んで、ぼーっとして(これ、すごく重要です。日本だとぼーっと出来ないんです)、でも、仕事もすごく集中して予定通り終わりました。天気はいいし、空気乾燥して気持ちいいし、だから楽器が鳴るし、水道水がおいしいし(ウィーンに限る)、どこも混んでないし、街にもカフェにも美人ばかりだし。

山田くんに、何度目かわからない「モリオさん、なんでこっち来ないの?」を言われました。

でもね、日本も好きなんですよ。
こんなことばかり言っていますが、日本の悪口を言われると本当に腹が立つ。

僕は評論家ではありませんから、
上記のような感想を持って、では、自分の目指す演奏をしよう、と気合をいれるのです。

さて、視察旅行もあと1日。
ちょっと練習して、友人と飯を食って、夕方はウィーンの森でも散策してきます。

今、窓をあけてこれを書いているのですが、シュテファンの鐘の音が良く聴こえます。いい風。
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by francesco-leica | 2012-06-16 17:03 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

帰国からだいぶ経っていますが

今回は、在オランダ日本大使公邸での演奏会のための旅行。

LH711は30分遅れで離陸、NRTFRAAMS。A380の最後尾。満席。
残念ながらあまりリラックスできず、耳栓をしてまずは成田でもらった日経を読み、
週刊ダイヤモンドの「世界同時不況」特集を読む。世界恐慌に突入することを確信した内容でかなり不安になる。
そして集中も出来ないが、「中世の秋」を読み進める。
トマス・ア・ケンビスの「キリストにならいて」が非常に多く引用されており、感銘を受けた。
おいしいドイツビールをもらって飲んで少しばかりうとうとできた。

機内のトイレで、顔を洗って大きな鏡を見て、無理に笑ってみると目元に本当に小じわが盛大に寄ること、頭の左半分にも白髪がある(右側にしかないと思っていた)のを発見し、軽くショックを受ける。30代半ばなのだから当然か。

夕食にでたヴルスト(ソーセージ)は機内食にしてはおいしかった!さすがドイツ。はじめにもらった食事リストを見ると「オクトーバーフェスト名物料理」とある。なるほど。アムスへの機内ではまたこちらでよくある、スパイシーなクリームチーズを塗ったパンとジュース。

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アムス、この空港は6月以来2度目、いい空港だ。トランジットスペースに球根売っていました。さすが。空港ではWi-Fiが来ているのでメールをチェックする。

外にでると、感じのいい、若い大使館の現地スタッフが待っていてくれた。初めて会う人。
大使館には何人もの運転手さんがいるそうだ。荷物を持ってくれて、トヨタのアヴェンシスでレジデンスに向かう。数ヶ月ぶり英会話のリハビリは楽しかった。ミニ観光ガイドもしてくれる。

出発前のなんとなく「危なっかしい予感」が半分あたっていた。
僕ではなく、共演者の畏友、ユージンのエールフランスがトラブルで飛ばなかったのだ。このままでは明日の合わせはなくなる。(ゲネプロのみで本番かあ・・・)車の中で大使館文化担当の方が「悪いお知らせがあります・・・」とお電話をくださったときはぎょっとしたが、別に彼の着くのが遅くなるだけなら、「明日はわたしの自由時間になるということですから、一概に悪いニュースとも言えませんよ」とお答えする。

公邸ではいつもバトラー氏は休暇でおらず、気持ちのよいメイドさんが案内してくれて、前回も泊まったお部屋へ。
心のこもった夕食を頂戴し、大きなお風呂にゆっくりつかり、死んだように寝る。

二日目
朝ご飯のあとは本を読んで、寝る。やはり疲れているようだ。
大使はすぐご出勤。本当にお忙しく、見ていてお気の毒なほど。国益、在留邦人の安全と利益を守るため、本当に身を粉にして働く、というのはこのことだと思う。オランダは国際機関が多く、一国対一国の以上のお仕事があるけれど、大使は一人、激務だ。しかし、こういう優秀で誠実な方が日本を支えているのだと思うと心強い。


お昼は、おいしいローマ風カルボナーラ。初めて頂きました。
ローマ風は生クリームをいれずに、ベーコンと卵の黄身だけ。
食後に奥様が自ら入れて下さるコーヒーを頂戴する。香り高し。
そのあとは、また読書、昼寝。
そのあと、4時間練習!(こんな普段さらわないぞ)そして休憩。共演者ユージン氏、有田さんジャケットを着て現れる。遅刻を詫びて下さるが、これは全く彼のせいではない。2回、滑走路まで行ったそうだ。
加速した瞬間に警告灯がついたらしく、急停止して引き返す。調べたら問題ない、ということで、しばらくしてまた走り出したら、彼は窓際だったらしいのだが、エンジンから閃光が出てまた急ブレーキ。さすがに怖かったそうだ。
夜中に日航ホテルの宿泊券やら慣れたものですぐ手配してもらった。演奏会があるんだ、と断固抗議したら翌日のKLMのビジネスに換えてくれて、最悪なケースより半日早くこられた。
合わせはうまくいくが、我が愛器ロット、調子が悪い。パッドが合っていないが、やむを得ない。大変残念だが、これでベストを尽くす。直前にいじってもらったのが良くなかったか?ここは兼ね合いが難しいところ。

そのうちに大使、ずいぶんお疲れの様子で帰宅される。立ち会っていただき音響などいろいろ確認する。

夕ご飯は奥様はお仕事で(大使夫人はお忙しいのです!)、大使とユージン君と3人で。料理人氏心尽くしのお料理を頂く。

以前、在外公館の支出について、マスコミにずいぶんと叩かれたことがあった。高価な調度品やワインなどの購入について、「庶民感覚」からずれている、という批判的なものだったと記憶している。しかし、彼らの実際の仕事、いったい何をしているのかを見れば、全く批判はあたらないのが分かるだろう。
ここで振り回すべきは「庶民感覚ではない」、これは当然だろう。
日本の国家の規模、世界における地位を示すもの、せめて同レヴェルの国に比べて見劣りしないようにバランスよく心配りするべきものだ。
中国など、大使館も、ものすごい羽振りの良さだそうだ。もしかしたら、中には心得違いの外交官もいたかもしれないが、私の知る何人もの外交官は心のそこから国を愛し、政治の混乱に翻弄されながらも国益を守るために働いている、品格、知性、勇気をもった方々だ。

遅くなりメイドさんが帰ってしまったので、後片付けは大使自ら、我々も手伝う。
ユージン君はタクシーを呼び(なんと流暢なオランダ語!)、親愛なる料理人氏は、明日の100人分の夕食の準備にてんてこ舞い。
風呂につかり、うとうとして、それからベットに潜り込む。とても疲れた。

3日目
5時くらいには目が覚めるが、以前なら旅行中は3時くらいには目が覚めるものだったから、やはり疲れているのだろう。昼は暑いのに、今はやや寒い。

朝ご飯は大使のお嬢さん方も加わり、急ににぎやかで楽しくなった。食事のあとは一休みして、1時間半、練習。ユージン君のチェンバロ到着を待つ。11時半に大きなレンタカーを友人のヤン君が運転して現れた。そして大使館の屈強の運転手さんたちが運ぶ。
もうとんでもないいい音のチェンバロ!ユージン君のお父上先生のお持ちのと同じ作者による。
本当にすごい音。トラヴェルソとチェンバロによる、ルクレールのよく響くこと。
昼食は戦闘食のおにぎり、おいしい。
ヤン君、公邸の食堂の内装の美しさに目を白黒。
出島の風景の描いた絵がかかっている。

その後、合わせ。

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親愛なる料理人氏と大使の奥様は大車輪で100人分のパーティー用お料理を作っていく。

今日は中国のナショナルデーのレセプションと重なり、お客は予想よりやや少なかったけれど、でも十分。いい演奏会、素晴らしい時間だった。その後気軽なパーティー。
最後はだいたい若い日本人連中で、だらだらおしゃべり。
寝たのは一時半。

4日目
次の日の朝は大使ご夫妻はお出かけで、若者だけでわいわい朝ご飯。
そのあと、市電で駅まででて、アムスへは快速でいく。
駅でオランダ全土で使えるタッチ式のカードを買う。
これでどこへも行ける。全土共通は便利です。
快速は少し時間かかるが楽しかった。


アムスはもう慣れたものだ。
荷物をおいてメールをチェックして、
お勧めいただいた中華屋さんで飲茶を頂く。

花市へ。きれい。親から頼まれていたダッフォディルの球根を探す。
種類がわからず、花市を二回も往復してしまった。
そしてチーズも買う。以前と同じ店で買う。
どれがいいのかわかっているから、スムーズ。試食すると、やはりおいしい。
柔らかい若めのを2つ、高級で実に味わい深い熟成されたのを一つ。
そして粉チーズにするアイデアおろし金を買う。これは便利。

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夜はコンセルトヘボウへ。夕食は食べる暇がなかった。
ハーディング指揮、ランランのピアノ。
リスト一番、ショパンの処女作のなんだっけ?ピアノとオケの一楽章形式の曲。
そして、エロイカ。

コンセルトヘボウ!!なんと素晴らしいオケ。今日はオケの後ろの席できいた。
いつもオケの中で聞いているような音。いつもみているようなハーディング。
いつも、こうなると、自分が演奏している気持ちになって指が勝手に動いてします。なんで、僕が吹いていないんだろうと、不思議になってしまう。
ハーディング、かっこいい!すばらしいオケ。やはり対向配置。スリリングで最高のベートーヴェンだった。フルートはバイノン。ソロが目が覚めるように美しかった。金リップのラファンに改造ロットか?大きな音で響きの効率も良く、これぞ現代のオケのソロ、という感じ。大いに思うところあった。
興奮して、幸せな気持ちになって・・・音楽って、素晴らしい。オケって素晴らしい。


5日目
朝、スキポールへ。
街から近い、いい空港だ。
一路、ウィーンへ。今年何回目だろう、ただいま、という感じ。
夜は疲れて、いつもいく町中の、高いがおいしい中華へ。
小澤征爾さんお気に入り、というザーサイと豚肉細切りの塩ラーメン。
これはうまい。本当に。さっさと寝る。
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6日目
聖テレジアの祝日。6時半の素晴らしいシュテファンのごミサに与る。
車いすの、声の素晴らしい神父の司式でした。ほぼ小聖堂が満員。
いいごミサでした、幼子イエスのテレジアのことをなんども触れておられました。
聖堂内に聖テレジアのお写真があり、ろうそくをおあげしました。
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朝のシュテファン広場は誰もいない。さわやか。
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帰って来て、いつもの朝ご飯。
いつもの僕の仲良しのおばさんはいなくて、「コーヒーは後でね」を説明しないと
いけませんでした。おいしいコーヒー、センメル。幸せないつものひととき。

我が心の教会、アウグスチーナー教会には観光客が沢山。
でも静かな瞬間もあり、ありがたい気持ちで座っていました。ここの私の好きな聖テレジアの絵は薔薇の花を抱えています。ろうそくをお上げして、心を込めてお祈りしました。

そして、オーバーラーに入って、Holunderソーダ水、これはなんだろう、植物なんですが、よく飲まれるシロップ入りのソーダ。
そのあと、おいしいソーヴィニヨンブランを1/8リットル(ニーダーエステライヒ州の素晴らしいワインだった)。そしてお昼のメニュ(定食)はいつものおいしさ。しかも食後にはアプフェルシュトゥルーデル付き。

その後、ひたすらのんびりお散歩。
なんと、今回は自分のための買い物をひとつもしなかったぞ。

早めの夕食はいつものペシュル(旧インマーフォル)にて。
ナトュールシュニッツェルはまあ、ウィーン版生姜焼きか。これは本当に、うまい、本当に、うまい。
ご飯の付け合わせが嬉しい。これにミニサラダをつけると、これがまたうまい。飲みものはオッタークリングの濁りビール。うまい。本当に、ここはうまい。ちと高いがホテルから20秒のうちの食堂。

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その後、市電のDでベートーヴェンの小道まで行き、市電38終点まで散歩。
考え事と感謝の静かな一人の時間。薄暗くなっていく、小川のほとり。
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38でショッテントーアまで戻り、グラーベンまで歩く。
途中、素敵なイタリアン系の靴のセレクトショップを発見。
大好きなナグラガッセを通って、ユリウスマインルの前までくると、ユリウスの前で路上にカフェが出ている。ここで、寝酒にグリューナーフェルトリーナーを一杯。
おそらく最もオーストリアらしい白。ぴりっと辛い、いい味。

気持ちよく、夜のグラーベンを眺める。最後の夜。
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7日目
これも最終日のお決まり。荷物を整理して、朝食をとって、前の日に帽子を無くしていたので、心当たりはオーバーラー置き忘れた可能性のみ。まずお店にいって、聴くとすぐに出てくる!ここ10年くらい、物をなくしたことがない、ありがたい。
散歩は王道に市立公園。シュトラウスに挨拶して、小鳥の声を聴きながら歩く。

オーバーラーとユリウスでお土産を買う。
オーバーラーでは大好きなオーバーラークアバートトルテを食す。うまい!
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レセプションで、ありがとうを言ってチェックアウト。もうみんな友達。

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Sバーンの時間を調べて、地下鉄でミッテまで出て、空港は大混雑。例の自動チェックインが大騒ぎだ。このチェックインでスムーズになるためにもいつかはゴールドカードになりたいもの・・・。

帰りの便は、満席。ただいま、という旅行でございました。
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by francesco-leica | 2011-10-15 23:11 | ウィーン滞在記 | Comments(4)

WEIN & CO

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ウィーンのワイン屋さん。
WEIN & COは気の利いたセレクトで人気の町のワイン屋さんです。
ウィーン市内にいくつかお店があって、まあ、わりと新しいお店です。
ここでは買ったワインをその場で開けて飲むこともできます。

ここで先日、オーストリア航空の機内誌の特集に紹介されていたウィーンで作っているワイナリーの
ワインを求めました。もちろん白。(まだ飲んでない)
満月の日に収穫したブドウで作った白ってのがあって、これが本当に飲むのが楽しみで、楽しみで。

そのときに、このお店のポイントカードを作りました。そして、僕はウィーンに住んでいないから、
またお店にきたら出来上がったカードを受け取るよ。と伝えておいて、まあ、だめだったらいいや、
くらいでいたら、先日、日本までカードを送る、というメールが来て、さらに本当にカードが届きました。

あら、うれしい。なんというサービスの良さ。

数日前、ウィーンでついにこのカードを使う時がきました。
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by francesco-leica | 2011-10-06 01:26 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

明日はもう帰る

アントニオ・ダ・ファブリアーノの「聖母戴冠」に会いたかった!数年ぶりの造形美術アカデミーの附属美術館訪問。
しばらく行くと休館日だったり、そうこうするうちに改装工事に入ってしまったりと、なかなか行けなかったゲメルデギャラリーに行きました。
まずはこの建物が圧巻。ウィーンの「芸大美術学部」ですが、ハプスブルグ帝国って感じ。うらやましいやら圧倒されるやら。
ここをヒトラーも受験して、落ちて・・・。歴史を感じます。
その1階(日本の2階)が美術館。おお、なんだか新しい感じ。

ここは人も少なく、とても落ち着いて絵と過ごせます。といっても美術史博物館でさえ、そうは人いないけど。
お目当ての「聖母戴冠」はボッティチェリの「聖母子」の向かいに静かに掛かっていました。
以前はボッシュの「最後の審判」の向かいのもっと暗い、立たないところで、背景は黒い壁で、なんだか神秘的な雰囲気はあったので、個人的にはそちらの展示のほうが好きでした。

ああ、またお会い出来ましたね。
泣き出したいような気品と慈愛にみちたキリストとマリアの姿。顔立ちや、背後の金をふんだんにつかった装飾に和風な感じを受けます。
絵の力を受け止めるように念じながらしばらく立ち尽くしました。


そのあと、近くのナッシュマルクトを散歩しながら行きつけのコーヒー屋さん「Alt Wien」へ。
ここのコーヒー本当に素晴らしい。焙煎したてのを挽いてもらいました。

お昼はふたたびPÖSCHLへお昼の定食を。安い!うまい!
今日はたっぷりのサラダ(このサラダまでうまい、野菜が違うんだと思う)、鶏もも肉をオヴンでこんがり焼いたのに、グリーンピースライス付き。
飲み物は前から興味のあったオッタークリンクの白濁りビール。このビール、周りの人がみんな頼んでいて、今度はこれにしようとおもっていつつ、うっかり普通のビールを頼んでしまってなかなか飲めなかったもの。「おお・・・」と声の漏れるおいしさ!

いやあ、ここは外しませんなあ。PÖSCHL万歳。

部屋に戻ってお昼寝と、仕事、そして練習。いつも不思議なのだが、ヨーロッパにいると、ものすごく集中して時間の進み方が気持ちよい。日本だと、ちょっと何かすると何かがすぐ起こって中断されてしまったりすることが多くて、練習もはかどらないのだが、ヨーロッパにいると2〜3時間あっという間にたって、驚く程効率の良い練習ができる。やはり、さらうならこっちだな。

夕方、オーバーラーでケーキ。
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またお散歩と買い物。

部屋で練習。

夕食はオーバーラーでたっぷりスープとパンの少なめを。食後にケーキ!
ここのおいしいケーキ、次来る秋までのために食べ貯めしておかないと。
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今日こっちに来た親友(悪友)の同級生ピアニストと落ち合う。
たまたま半日だけウィーンでダブることになったので、じゃあ会って一杯飲もうや、ということになった。
本当はオーバーラーで会う予定で先に待っていたら、お店が終わってしまって一人追い出されたので、じゃあ、こっちから彼の来そうな路をたどって駅まで来ると、果たして会う事ができた。こんな芸当、東京では考えられない。まず彼行きつけのワインバー兼ワインショップでワインを物色。素晴らしいワインの数々!!ああ、これは買って帰らないとバカだな。明日、空港に行く前にまた買いにくる事にした。ウィーン産のワイン農家のセレクトが素晴らしい!
そのあとは適当に近くの店で、ふたりともオーストリア産の赤、Zweigeltを飲みながら、人生の事など語り合う。実にいい時間です。なぜ結婚できないか、という問題に二人とも完全に一致した見解を示し、爆笑する。彼とは色々壮大な野望を沢山共有しているので、これからがまた楽しみだ。
買い物にウィーンに来たけど買えなかったと告白するとまた爆笑された。なんで在庫確認してから来ないんだよ!ないわけないと思ってさあ。などと。
しかも、それを買いたいならウィーンではなくてパリに行けよ。と指摘されて、こちらもポカンと。ああ、そうかあ。いやあ、手落ちでした。まあ、楽しかったので良し。

あっという間に夜中に。
いけないいけない、明日はもう帰るんだ。これで。
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by francesco-leica | 2011-07-27 12:38 | ウィーン滞在記 | Comments(2)

IMMERVOLLからPÖSCHLへ

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常宿から歩いて30秒、絶品レストランとしてわたしのウィーン生活の核を占めていたIMMERVOLLが、名前をPÖSCHLへ変えました。
PÖSCHLってなんて意味だろう?名前が変わっていたのでちょっと心配でした。経営が変わったのか、もしかして本家は移転しちゃったのか・・・?
ただちょっと覗くと雰囲気は同じで、給仕さんも同じ人、メニューも同じようですので、入ってみました。IMMERVOLLの時は御飯時は予約がないと無理だったので、ちょっと夕ご飯には早いかな、くらいの時間に入って聴くと、「次の予約は**時だから、それまでなら、いいよ」いつものパターンです。
まず、ここのビールはうまい!普通のオッタークリンクなのに、ここのはいつもおいしいのです。
そして毎回食べるチキンカレー。え、どうしてチキンカレーと思うでしょう。
ここのカレー、めちゃくちゃおいしいのです。ココナッツ系のかなり本格派で、材料も吟味していると思われます。ポソポソのお米も好き。値段は高いですけれど、日本でもそうは食べられないおいしさだと思う。今回は体調のせいか、なんとなく日本的なものを食べていたい気分で大正解でした。

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PÖSCHL、うちの食堂です。
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by francesco-leica | 2011-07-26 13:52 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

ないない

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今回の旅行の最大の目的。ガーメントケースを買う。
これがデコピン一発で粉砕されてしまいました。
コールマルクトのお店に行くと、暇つぶしのような店員のお姉さん達に囲まれて奮闘。
このブランドのガーメントケースは大きさが3種類あって、小はもうスーツ1着でパンパンなのでパス。大はスーツ5着はいるのですが、もうもうデカすぎ。中は2着が余裕で、あとポケットもあるので、わたしのニーズ、燕尾服やタクシード、本番着、それに靴やカマーバンド、ボウタイなどの小物を運んで、さらに楽器や楽譜もいれてしまおうという欲張りニーズにはこの「中」がぴったり。
しかし、お店にあるのは小と大のみ、在庫無し、さらにオーストリアの他のお店の在庫もなし。もしザルツブルグにあるってなら、そのままピックニックに買いに行ってしまおうと思っていたのだが・・・。
しゅん、となってしまう。これでは本当に「避暑にウィーンまで・・・」という旅になってしまう。
月曜は美術館も休みだし、ひたすらぼーっとするか、ちょっと街歩きするしかない、ということになり、ええ、そうしました。

9月のオランダで探すとします。
なんといっても、この円高でこちらが買う方が断然安いのでね。


まずは気をとりなおして、我が家の心の聖地ともいうべき、アウグスチナー教会へ。私しかおらず、静かでした。
そういえば、ここは皇族の墓所だったはず、心臓はカプチーノ教会でしたっけ?つい先日、欧州統合に大きな役割を果たされたオットー・ハプスブルグ殿下が亡くなり、大きなニュースになっていました。いまもいくつかの建物で、黒い弔旗がかかっています。このホテルにも過去にお泊まりになったようです。

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お昼はいつも通り、オーバーラーのランチ。おなじみの、一番可愛いフロイラインが来てくれてうれしかったうう。今日のランチは猟師風コルドンブルーです。チェコ料理のスビチコバのように、ベリー系のジャムをたっぷりつけて食べます。美味しいの。ここの味付け、本当に好き。デザートには名物のマカロンがつきました。いつもならここでさらにケーキやら色々食べてゆくのですが、どうもずっと続いている元気無い感じが残っていて、その気力がありません。一杯のグリューナーフェルトリーナーをチビチビ飲みながら、そのまま食後にはMacintoshを広げて原稿を打ちます。

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そのあとはダラダラお散歩。市立公園では有名なシュトラウス像の修復中で、少し側に像が移されていました。このユーモア!!
部屋に帰ってちょっとお昼寝。小さな音で今度の現代曲の譜読みをします。

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夜はImmervollで、食べよう。と思っていたら!!以下次号。
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by francesco-leica | 2011-07-26 13:38 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

避暑

ウィーン、寒いです!

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まさに避暑という感じ。コートを着ている人がいます。

たった3泊ですが、一人静かに過ごしてきます。
いっぱい本と原稿仕事を持って来てしまいました。
どれだけ読めるかな。

着いてすぐに、日曜の18時のシュテファンの御ミサに間に合いました。
オーストリア航空の直行だと、これができるのがうれしい。
前の日の日本の御ミサにも与っていたので、朗読箇所が全部分かってよかった。


夕ご飯
最近お気に入りの中華屋さん。
ここの豚肉とザーサイ細切り湯麺がかなりおいしいのです。
小澤征爾さんもお気に入りだとか。

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今回は常宿の最上階です。いい眺め。
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by francesco-leica | 2011-07-25 13:56 | ウィーン滞在記 | Comments(0)

最後の夜

ウィーンに通い続けて13年たって、シュテファン寺院がそんなに巨大に見えなくなって来た。
昔は圧倒的な石の固まりに感じていたのに、なんだか、いまではぬくもりさえ感じるのだ。
温かい、帰っていくべきねぐらのような気がする。
絶対に!ここにあってほしいもの。いつまでも無くならないでいてほしいもの。
人間のちっぽけな一生を越えて立ち続けていてほしいもの。
(モーツァルトの生きていた時からここに立っていたのだ!)

もし、シュティッフルの存在と、お前の命が引き換えだ、と言われたら、いまのわたしなら、喜んでシュティッフルが残るほうを選ぶだろう。
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この部屋、
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自宅の部屋よりも落ち着く、寛げる。
ホテル・カイザリンエリザベトの201号室。
窓からシュティッフルの鐘の音が、毎時聴こえる部屋。

オーバーラーのケーキ。
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これはエスターハーツィー・シュニッテと、メランシェ。
ここケーキ、甘すぎず、アホみたいな量が来ず、本当に素敵。おしゃれ。
以前教えてもらったスルッカもおいしかったけど。
とにかく、このノイヤーマルクトのお店が好きなのだ。
ここもIMMERVOLLと同じく、毎日通ってしまった。きょうの昼飯もここだったし。

あとはいうまでもない、オペラ、楽友協会、アウグスチーナー教会、美術史博物館、ラーベルグ、ベートーヴェンガング、もうもう分身のような大事なところがいっぱい。

あっという間の4日間。
長い滞在でなくていいから、もっと、しょっちゅう来たいな。
ありがとう、ウィーン。
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by francesco-leica | 2011-01-10 04:36 | ウィーン滞在記 | Comments(2)