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マフテイ10足目

ウィーンではMAFTEIへ。
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凄腕職人の息子さんルシアンさんと奥さんが待っていてくれた。オヤジは今日お休みなんだ。と。
普段はルシアンさんは御自分の支店をポストガッセに持っていて、このキューンプラッツにはいないのだけれど、ヘルプだろうか。
このルシアンさんはあちこちで修行していて(ロンドンでも。確かロブ・ロンドンで、とオヤジさん言っていたような)、完璧な英国英語を話す、
素晴らしいセンスの職人さん。「真のウィーン人30人」という本でも取り上げられた人。
このルシアンさんと、奥さんとの1時間ほどの交流の濃さといったら!!
まず入るなり「アルニスですね!素晴らしい・・・。靴の茶色とあっています(今回はチャーチのぽってりしたチョコ色のライダーを履いていた)」
「アルニスが無くなったのはご存知ですか、とても残念だ」なんだなんだ情報通か・・・。
そして、靴を受け取り、次の注文を時間の楽しいこと、楽しいこと!
どんな服地には、この革、この色にはこの色、いや、春の風のなかを歩くにはこの革がぴったりです。
あなたは今日のようなカシミアの(よく見ただけでわかるな)セーターはよく着ますか?ならこの色で・・・。
ガルーシャは、「あなたには似合いません」とも(これはこれでうれしかったな、僕も嫌いなので)。
象革はものすごくリコメンドされました。
地球の一部の気持ちになれる靴。とも。
次次回はこれでいくかも知れませんが、今回は明るいアンティークフィニッシュ(「私が自分でパティーヌします」と)の茶色による、
センターシーム(「オリジナルは父も働いていたルドルフ・シェアですが、うちのいちの得意モデルです」と)、アルニスと共に旅に履いていく靴、
というコンセプトで、ハーフラバーソールにしました。
あとは象革のベルト。

楽しみで、楽しみで。

それにして、ウィーンでこんな英語で喋ると思わなったので、冷や汗が出たよ。もっと英語も勉強しないと。
そして、なんと、ルシアンさんの奥さんはウィーンのアカデミーで勉強した歌手でした!!
音楽の話で盛り上がりました。素敵な方でした。うれしい!
私、靴のことはなんにもわからないの、と。

マフテイ、ルーマニアに工房をできて、ニューヨークでオーダー会が成功して、次はパリでやりたいとも。
いまからパリのテーラーで受け取ってくるんだ、といったら目を輝かせて「チフォネッリ?カンプス・ルカ?」と。
本当に詳しいですね、ルシアンさん、スマルトでヘッドカッターをやっていた若い日本人だよ、というと、噂には聴いたことがあるようでした。
その彼にも我々の靴を見せてきてください。と。

今回の完成品、記念すべきマフテイ10足目。素晴らしい出来だった。
オヤジさんがドヤ顔で「世界で私しかできない」と豪語する美しいノルヴェージャン製法のモデル・アレクサンドル。
ジョンロブ・ロンドンも、ノルヴィージャンの依頼は全部親方に頼むようです。以前オーダーシートや木型を見せてもらいました(ブログには写真、載せるなよと言われて)。

ステッチも本当に美しいです。そして意外に返りがいい。
以前はくるぶし周りが硬くて、いつもトンカチでドンドンしてもらってから履くのですが、それも必要なかった。
オヤジさん、乗りに乗ってます。
それでも、実に実に、グットプライスです。
絶対に、日本の靴好きにもおすすめしたい。
最初はオヤジさんの自分の名前をつけている外バネのモデル、アレクサンドルを勧めたいな。
エレガントでほかにも合わせやすい、いいデザインです。
by francesco-leica | 2014-01-11 01:38 | 服飾雑記・靴


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