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クッキーの傑作

村上開新堂のクッキーが最高傑作だと思っていましたが、つい先日頂戴した京都「よねむら」のクッキーのすばらしさに、毎日少しずつ頂きながら、大げさに言うと、うっとりしています。「よねむら」は、例の赤い本にも載っている(赤い本、というとつい仕事柄、中世写本の『モンセラートの朱い本』を思い出してしまう)京都は祇園のフレンチレストランだそうで、わたしは寡聞にして知りませんでした。銀座店もあるようですよ。クッキーは手作りで作っています、と説明書きに書いてあります。
その統一のとれた美しさ、味わいの優しさ、飽きなささ、そして「ぶぶあられ」やら「七味」やら、ちょっとした驚きの味も入っています。村上開新堂さんと2トップとして、これからも楽しませて頂きたいと思います。そして!もう大興奮なのが、このクッキーの缶の可愛らしさです。これはもう大傑作。
私は一事が万事だと思っている人間ですので、愛想は悪いけれど味はいいよ、ですとか、商売は下手だけど品物は確かなんだ、ですとか、そういうものを一流とは思いません(だから興味ありません)。パッケージも含めたこの楽しませて下さる心、これを頂きたいと思います。こういうクッキーの詰め合わせを頂くと、そのなかでも好きなものと、別にどうでもいいものに分かれてしまい、バランスよく食べて減らしていくのが難しかったりします。この詰め合わせは、全部おいしくて、全部好きで、どれを食べようか目移りしてしまいます。そして、どことなく私の愛して止まない村上開新堂さんの味に似ている気がします。あの味をもう少し今風にして、柔らかくしたらこうなるような。
こうしてまた、知らないおいしいものに出会わせて頂きました。ありがたいことです。

今日は宇都宮で講義のあと、新日のサントリー定期を聞かせて頂きました。

エスケシュ作曲 ヴァイオリン協奏曲(2009)*日本初演
ブラームス作曲 交響曲第4番ホ短調 op.98

指揮:クリスティアン・アルミンク
ヴァイオリン:ダヴィド・グリマル

本当に、素晴らしい演奏会でした。エスケシュはオルガンの大家だそうですが、まさにオルガン的響き、こういうゲンダイキョクは大歓迎です。難しそうですが、本当に楽しい、美しい、ワクワクする名曲でした。マエストロアルミンクの言う通り「後世に残すべき曲」だと思いました。

ブラームスはもう・・・清潔感と、濃厚なロマンティシズム。アルミンクさん/新日本フィルの集大成と言えるものではなかったのでしょうか。意外なほどテンポが激しく動き、慟哭を刻み、しかしながら後に引かずにキビキビと場面転換します。白尾さんの4楽章のソロの美しいこと。まさに、音楽でした。この素晴らしさは理屈で説明できないものです。
すべて、あまりに素晴らしくて、心を動かされ、終演後、一人になりたい、誰にも会いたくない気持ちで真っすぐ帰りました。
ブラームスの孤独にあてられたようです。
ブラームスの愚図愚図が大嫌いな時もあったのですが、年を取ればとるほど、一人好きの寂しがりやという私の性格にだんだん寄り添うような気がします。

自分がどういう音楽がしたいのか、そしてどう生きたいのか、考えさせられました。
by francesco-leica | 2012-05-25 23:34 | 日記


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