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Gambrinus ガンブリヌス

2006年にヤフーブログに投稿したものを再録。

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今までさんざんチェコビールの事を褒めちぎって来たが、それはみんな外で飲む生ビールの話だった。
きょうは家で飲むビールの話をしよう。

日本のスーパーで、ビールを買おうとすると売り場のほとんどは缶ビールで占められ、瓶ビールは一部の高級品に限られているようだが、チェコではこの状況が逆転する。スーパーに限らず、駅のキオスク、コンビニでも、売っているビールのほとんどは瓶である。缶ビールも少しはおいてあるが、これらは明らかに「割高」な高級品。缶の底の製造年月日を見ると、作ってから半年くらい経っているような売れ残り・・・
そう、チェコ人は缶ビールをのまないのだ。缶は、「高い」そして「不味い」。これが常識。

どうしても缶ビールだと缶の匂いがビールに少し移ってしまうが、これが彼らには許せないらしい。日本人にとって、ビールはまず、「喉越し」や飲んだときの爽快感、一口目のインパクトが大事なので、ビール本来の麦の香りや、味がないがしろにされているきらいがある(不味い偽ビールが売れているのも、そのせいだと思う)、でもチェコ人にとっては、ビールは香り、そして味わうものなのだ。

またチェコは、国としてあまり豊かでない過去を過ごして来た以上、少しでも安い事は重要な筈だ。
と言うわけで、スーパーには沢山の銘柄の沢山の種類の瓶ビールがこれでもかと並んでいる。

あと、それこそ好きな人は3度のメシにも生ビールをお気に入りの居酒屋まで「桶買い」ならぬ「ピッチャー買い」「ジョッキ買い」に出てくるのだ。何度かマイグラスをお店の人に渡してサーバーから注いでもらい、コインを渡して店を出て行く人を見た。

それにしても色々な瓶ビールがある。
まず、大手だと、一つの銘柄にバリング度10%と12%、さらに銘柄によっては黒ビールの3つの種類を持っている。さらに「〜を作る時に出来る上澄み」のビール(つまり薄い、そして安い)とか、全国展開のビールと地元でしか売ってないご当地ビールとか、外で飲む生ビール以上に多彩だ。

お土産にするにも迷ってしまうが(これは少し重いけど、持って帰る甲斐はあるよ!)、最近は一つのブランドに決めている。
ガンブリヌス(Gambrinus)だ。これは現在、チェコを代表する銘柄、ピルスナーウアクエル(プルゼニュスキー・プラズドロイ)の工場で作られている別の銘柄で、位置づけとしては、国内向けのちょっと安いプラズドロイ、のようだ。確かに外国ではこの銘柄は見た事が無い。
町中でも少し庶民的なお店に、このガンブリヌスの看板がでている。

この銘柄を教えてくれたのはもう何度も登場しているプラハ在住のトランペット吹きのTくんで、このブログの「お気に入りブログ」にある、プラハ写真日記・うめ写真日記のご当人である。
彼がこの国に住み、いろいろな銘柄を試して、人にも聞いて、その上で確信を持って勧めてくれる銘柄、それが「生ならピルスナー(プラズドロイ)、瓶ならガンブリヌス」なのだ。
これは彼の先生、チェコフィルの親分、ケイマルさんの意見とも一致する。

なぜ、瓶もピルスナー、とならないのか?ピルスナーはキリンが輸入していて日本でも飲める瓶ビールだが、生で飲むのと、瓶になっているのとでは性格が変わってしまう。瓶になると、ピルスナーの元々の良さのようなものが、若干デフォルメされて、少し、クドく、苦い感じになる。味が強すぎる感じがある。生だと、もっとキレがあってさわやかなのだが・・・

というわけで、性格的にはピルスナーに似ていて、ピルスナーより弱く、気楽な雰囲気のガンブリヌスは、瓶にすると丁度よい、というわけだ。

私も個人的に何種類かお土産に買って帰って、ガンブリヌスよりも値段の高いビールも試してみたが、やはり私も、瓶ならガンブリヌスが一番美味しいと思うようになった。
特に10%。これは毎日でも飲める(本当は毎日飲みたいけど、無くなっちゃうから・・・)。昔は12%の方が好きだったが、今では12%はややクドく感じるようになって来た。上質な普段着とも言うべき10%のさわやかなうまさが気に入っている。

栓を抜いた瞬間に、フワッ〜とモルツの香りが部屋に漂いだす。

トクトクトクと注ぐと、薄い黄金色。(ピルスナーはもっと濃い)

口当たり柔らかく、ほのかな麦の味、ホップの苦み、炭酸のバランスが兎に角よい。

アルコール度は4.1%、気楽に飲める。当たり前に、実にうまい・・・まさにこんな感じだ。

テイストの強すぎる高級輸入ビールより、日本の風土にも合うと思うのだが、どこか輸入してくれないかなあ?でも、チェコで買えば1瓶100円。しばらくは向こうに行ったお土産に、ひいこらひいこら持って帰ってくるとしよう。

空港で払う超過の税金だって安いものだ。前回は成田で申告して、税額はしめて100円だった。ちゃんと払い、日本銀行の立派な領収書を戴いた。きっと領収書の方が払った額より高いだろう(笑)

写真、向かって右がちょっとリッチな、ガンブリヌス12%(金ラベル)、左が普段着のうまさ10%。
by francesco-leica | 2011-03-01 22:45 | チェコビール/ピヴォ


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