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マフテイ、シェイプの変遷

2006/6/2(金) 午前 0:33にヤフーブログに投稿したものを再掲。

マフテイ、シェイプの変遷_b0107403_236528.jpg


右上のフルブローグが1足目。
左のスエードのダービーストレートチップが2足目。
右下の濃茶のダービーストレートピップが3足目。

1足目の時の要望は、ウィーン風に解釈した伝統的なブリティッシュ、であった。
今の流行からみれば、ややショートの観もあるが、実に質実剛健。
好感のもてるシェイプに見える。

ただ若干、靴底の形状に修正を必要としたので、実際に稼働し始めたのは最近だ。
というのも完成時は具合よかったのだが、歩いて少し底が沈むと、左足の外側の踝に当たりが出て痛くなるので、少し全体的に靴底をあげたからである。
あと踵と、右足親指の付け根が少し堅かったので、木槌で叩いて柔らかくしてもらった。
(私は右足の方が大きいのです、ヨーロッパ型というのかな?)

2足目のオーダのときに、少しだけ、分からない程度にロングノーズに、という要望を出した。
私の好きなT&C有田一成さんのスーツの裾幅が割と広いので、バランスを取るなら、靴の長さがもう少しあった方がいいかな?と考えたのだ。
(ただ基本的にはロングノーズは嫌いです。尖った靴も。チゼルトゥも。)

親方は「ああ、エレガンテね!日本人はエレガンテが好きだね」と了解してくれた。
そして、右足の小指が、普通に立っているときは何と無いけど、歩くと少しキツい、とだけ伝えた。
その結果がスエードの「アレクサンドル」だが、1足目のときに気になった、踵と親指付けねの堅さは無くなっていて、吸い付くような(踵は噛み付かれるような)いいフィットになっている。

お気づきになるだろうか、左右の幅に違いがありストレートチップのラインの位置がずれている。
並べてみると少し心配になるほどずれて見えるのだが、実際に履いているときは全く気にならない。

この靴は少し厚めのソックスを履いたときが一番しっくりする。

さて、3足目は、2足目と同じモデル「アレクサンドル」である。
こちらからの要望は、革の指定と、アイレットを5つに(2足目は4つ)、今までお願いしていた先端のメタルチップを無しで。のみ。

できあがりはかなり2足目と違う印象になった。
履いた感じは今までで一番フィットする。しかし全くキツくはない。
2足目まではOKだった少し厚めのソックスはもう無理だ。
薄めのドレス用ソックスしか入らない。しかしもとより、この靴はスーツスタイルにしか合わせないつもりなので困らない。

おもしろいのは、全体のシェイプは細身なのだが、少しひねりがあるというか、足の動きの通りに作ってあるようだ。歩いていても窮屈な感じはしない。

親方に、「2足目と全然形がちがうのですね」と聞くと、当然だと言わんばかりに「違う革、違う靴だ」と宣う。
これだけ形を変える場合、ラストは一体どうしているのだろう、など気になる。
ラストの代金は1回目しか払っていないぞ・・・

個人的にはこの3足目の履き心地で、あとほんの少しだけ足先部分を薄くすると完璧かなあ。

などと考えているが、基本的に「かっこよすぎる」ものは好きでないので、ウィーン風にちょい無骨な今のスタイルが一番いいかも知れない。

注文中の4足目は、また少しカントリーにシフトしているデザインなので、どのような形になるのか興味津々といったところだ。
by francesco-leica | 2010-09-19 23:07 | 服飾雑記・靴


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