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フックスさん来校

さきほどやっと帰ってきました。
今日は芸大ブラスの学内演奏会。
久しぶりに芸大っ子になりました。
朝から晩まで、飯を食う余裕も無く地下、1階、4階を走り回った。
みんなが打ち上げに出かけた後、後片付けに、アンケート集計に、となかなか帰れない。

指揮者が変わるとこんなにサウンドが変わるものなのか、、、
なんてことは分かっていても、やはり驚く。
楽しい、素晴らしい時間でした。
別れ際に指揮者の先生のおっしゃった「やっぱ、楽しくないとね」にジン、とくる。

今日は出勤してそうそう、なんとクラリネットのスター、フックス様が教官室にお見えになる。この数日、レッスン三昧。本当に愉快ないい人です。
久しぶりのドイツ語に一瞬パニックになる、全く出てこない。
うおー、オレのバカバカバカ、と思いながら、30分くらいたった頃、他の先生たちと3人で話し始めたら急にスラスラ分かるようになって安心。脳油が固まっていたらしい。
ベルリンフィルに、とうとうオッテンザマー弟が入団したそうだ。なんと21歳。
親父と兄貴はウィーンフィル、弟ベルリンフィル、なんていう一家!それにしても若すぎる。
フックス様が「ベルリンフィルはベイビー・オーケストラになっちまったぜ笑」などとジョークを飛ばすので「スーパー・ベイビー・オーケストラでしょうが!」と言い直して差し上げた。

今日はバンドジャーナルの執筆依頼を頂戴しました。
「歌う事」について「ヴィヴラート」について、考えています。
この二つは本質的に違うものだと思う。
しかし、ひとつのことがもうひとつを内包するといってもいい。
私はヴィヴラートには冷たいのだ!(結構自分ではかけるけど・・・)

若いヘルムート・ハンミッヒ仲間がお一人、増えました。おめでとう〜、という気分。
「正しい病気」にかかりましょう〜かかりましょう。


帰り、車のなか疲れて、久しぶりにファニーフェイスのサントラを聴く。
アステア、なんてかっこいいんだろう。
あの声の揺らし!
「ボンジュール・パリ」でシャンゼリゼで最初にステップを踏むシーンが目に焼き付いている。
鳴呼。

〜〜〜

自分が目標を見失いかけた時に、夢を見る事を忘れてしまった時に、
自分に夢を託してくれた人たちのことを思い出す。

今、わたしがここにいるために、どれだけの人が助けてくれたか、どれだけの人が、自分の夢を諦めて、わたしに道を譲ってくれたことか。
わたしは、ひとりじゃない。

幸い、受験というもので失敗したことがない。幼稚園から始まり、相当な数の試験を受けたけど。わたしが入って、ある人は涙をのんだ。

夏の全国高校野球大会で、予選から、甲子園まで、試合の度に、負けたチームから、勝ったチームに千羽鶴を贈るでしょう。「俺たちの分も、俺たちの背中を押してくれた人たちの分も、この思いお前たちに託す」そういう意味が込められるそうだ。

何度も何度も「わたしの分もがんばって」と言われてきた。
一緒に勉強してきた、一緒に戦ってきた、一緒に努力した仲間のなかで、まだこの業界の一線で働いている人は本当にほんのわずかだ。本当に残酷だと思う。心が痛む。
こんな素敵な「音楽」の世界なのに、それを仕事にしようとするとエラい事になる。
実力、運、コネ。一人前になるためにかかるお金だって大変なものだ。そして努力。
これらどれか一つでも欠けたら、なれない。

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(夏は懐中時計が便利だ、時間見るまでワンアクションがあるのが好き)


努力?努力なんてしたっけな?なんて煙にまいてみましょうか。
昔のわたしなら、そう言ったでしょう。
(努力なんて嫌いだもん、がんばる、はもっと嫌いだけど)
別に、延々と練習をすることが努力とは限らないのですよ。
高みを求め続ける事、諦めない事、これが努力ではないかしらね。
それに、わたしが、自分が努力しているなんて夢にも思っていなかっただけかもしれない。(と、年も取ったので、譲歩)

本当に素晴らしい音楽を、心からの音楽をわたしは発し続ける責任がある。それが仕事だから。
でも責任なんて全然感じないのは、わたしが音楽が本当に好きだからだ。

責任とプレッシャーを感じて、でも音楽が好きかどうか分からなくなった時期は本当に苦しかったけれど、そんなときに、素晴らしい音楽、素晴らしい師匠、素晴らしい楽器にであって乗り越えられた。

甘えてはいけない。逃げてはいけない。暗闇で苦しみ抜いて、そして前を向かなければならない。
悩んでいる、というのは一種の自己逃避の状態だと思う。

(心と体の一致、というのは理想だけれど、なかなか難しいのだと思う。たまたま一致することが多かったけれど)

悩んでいたときに、バルト(クイケン先生)が贈ってくれた言葉が忘れられない。

〜〜〜
君がその場にいる、ということは、
君にはその資格がある、
君にはそれができる、ということだ。

Believe!
u can do it!

〜〜〜
こんなこと言われたら、勇気でちゃうよね。

へっへっへ。
みんな、真面目にやろうぜ、これは「遊び」なんだよ。
by francesco-leica | 2010-07-01 01:54 | 日記


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