2005/7/2(土) 午後 7:23
Yahooブログに投稿したものの再録 (Yahooブログの編集しにくさからこちらのブログへの統合を計画中) ウィーンに行くたびにショウウインドゥを覗き込み、店の前をうろうろした上になかなか入っていけない店がある。 ケルントナー通りを南下して、オペラ座の裏手で右折してフィルハーモニカー通りに入り、ザッハーの前を通り過ぎた角のお店。カフェ・モーツァルトの隣、といえば分かる人がいるかもしれない。 Wilhelm Yungmann und Neffe(ウィルヘルム・ユングマン ウント ネッフェ)という老舗の生地屋だ。 街の中心部にあり、散歩をすればかならず通る道すがらにあるので前々から気になっていた。そっと窓越しに除くと、ヴィンテージとおぼしき素晴しい布地の数々、オリジナルのタイや靴が並べられ、調度品もすばらしく、古色蒼然、まるで帝国時代のウィーンが出現したが如くであった。 「うーむ、入るのにちょっと覚悟がいるなあ」というのがその時の印象。 (関係ないが海外で、ぼさぼさ茶髪にTシャツ、短パンにナップザックを背負って高級店に突入する輩、国辱ものだと思う。しかもカップルだったりして・・・本人の勝手だけど、勘弁してほしいよ) 一度だけ、朝開店したばかりの時に挨拶だけしに入った事がある。「グリュースゴット!質問しても宜しいですか?」開店したばかりとあって、店員さんも片手にコーヒー、かわいい犬がカーペットに寝そべって日本ではありえないリラックスした空気。 「ここでオーダーできるのか?−予約してもらえれば準備をする」 「仮縫いまでどれほどの期間がかかるのか−2週間」 そしてオリジナルの傘(ブリックとのダブルネーム)、素晴しいネクタイ(おそらくイタリア製のオリジナル)、そして日本で探してもあまりないボウタイ(蝶ネクタイ)やサスペンダーを見させてもらった。 男を磨いて、また来よう。そう念じて店を出た。「どうもありがとう、ぜひいつかオーダーをお願いします。さようなら。」 ショウウィンドゥにかわいい女性用の傘が飾ってあった。センスの良さに脱帽。そっと1枚撮った。 その後、日本の雑誌「ジェントリー」で、ドイツ人のファッション評論家、ゲアハルト・レッツェル氏がこのお店の紹介記事を書いていらして、その由来がわかった。 またインターネットでもいくつかの紹介記事、特にドイツの新聞の紹介は具体的なものだった、 曰く、現在でも営業を続ける数少ないハプスブルグ王室御用達の名店。皇妃エリザベトのドレスを作ったこともある。戦争の被害を乗り越え、今でも帝国時代のままの内装で店を守っている。 最高級の布地をそろえ、スーツをオーダーする向きにはその場に仕立て屋を呼び、採寸を行う・・・ 素晴しい・・・ どうやらヴィンテージのツイードなどはいいストックがあるらしい。 現在、私は服の仕立てに関しては、青山は骨董通りの有田一成さんにお願いすると決めているので、このユングマンでは、普通に売っていないような昔のゴツい生地を探して、買って帰って日本で仕立てて貰う、と言う野望を抱いている。 ユングマンの他にも、グラーベンのKNIZE(クニーシェ)は世界的に有名な仕立て服の名店だし(既製服は主にブリオーニを扱う)、道を歩けばあまたの風格ある仕立て屋、手作り靴の店がみつかる。 男を磨き、ドイツ語も磨いて、いつかウィーンに仮縫いに行く、なんて日が来るのを夢見ている。
by francesco-leica
| 2010-06-09 01:35
| ウィーン滞在記
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